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一章
第5話
ハアッ、ハアッ、ハアッ!

荒れた息を整えながら、岩の隙間に潜り込んで傷ついた身体の回復をはかる。

『サガセッ!』

『ゼッタイ ニ ニガスナッ!』

『チカヅケズ ニ マホウ デ タオセッ!』

『ヤツ ハ マホウ ニ ヨワイゾッ!』

外からはゴブリンとインプどもの忌々しい声が聞こえる。

クソッ!

知性のあるモンスターを舐めてたか。

俺の弱点に気付いたら、急に強気になりやがって。

でも、なんでゴブリンとインプの混成軍に襲われたんだ?

俺からは手を出してなかったぞ?

スライム狩りをしている奴らを見て逃げ出したら攻撃してきやがった。

ん~、あっ!

もしかしたらコポルトのせいか?

強いゴブリンはコポルトやインプを従えるらしい。

運良く俺の襲撃から逃げ出せたコポルトから俺の情報が行ったのか?

なるほど、だったら奴らがスライム狩りをしていたのにも納得がいく。

俺を危険視して狩りに来たのだろう。

手当たりしだいなのは、スライムに擬態した俺と見分けが付かなかったのか。

腹立たしいが今は戦略的撤退をするしかない。

決して逃げた訳ではないぞ!

夜になったら必ず仕返しに行くからなっ!





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チャラい男でチャラオ、ではキメラな男では?

キメオ?

音の響きが悪いな、メラオ?

微妙だな、これを名前にはできんな。

こんにちわ、キメラ男です。

コポルトの巣を襲い続ける事、はや二週間。

14個もの巣を壊滅させてしまったが、奴等は数だけは多いからその内もとの数に戻るだろう。

今のステータスはこんな感じだ。


ステータス
名前:・・・
種族:キメラ
Lv:37(48)
HP:368/368
MP:54/54
物功:186
物防:175
魔功:34
魔防:54
敏捷:134

スキル
キメラ(1)・・・取り込んだモンスターの潜在能力(成長限界)や欲しい能力を得ることができる。

悪食・・・モンスターを取り込む時にHPを一定値回復できる。

スライムボディ・・・身体の酸性度を自由に操作できるゲル状の体。また、スライムや溶解液等による攻撃を無効化出来る。

肉体再生(1)・・・身体の一部を欠損しても即座に再生できる。ただし一度の再生にMPを一律5ポイント消費する。




才能のある奴を取り込んでからレベルアップによる成長値が大きくなった。

文字道理、才能も取り込んだのだろうか。

まあ、強くなるならどうでもいいや。

さて、今は新しい名前を考えながら、キメラの特性を有効活用すべく訓練している。

スライムの特性に偏って、キメラの特性を使ってなかったんだよね。

訓練で出来るようになった事を纏めてみようか。


・身体に今まで取り込んだモンスターの部位をはやす事ができる。例えば自分の口だと思う辺りにコポルトの鋭い歯が生えた口を作りだしたり、スライムの触手の先に爪や牙、口を作りだす等だ。

・複数のモンスターのパーツで構成された身体を作れた。複数のメリットを詰め込んだ肉体を作りだせるのだ。スライム状態と区別するために固体モードと呼ぼうかな。


1つ目は凶悪な見た目になってしまうが、攻撃性能も高まるので良しとする。

2つ目はこの先に期待と言った感じだ。

今の固体モードははっきり言って微妙なのだ。

戦闘能力の高い形をとっても、現段階では小さなウェアウルフになるのが限界だ。

コポルトを素体にして、足を脚力のある狼の足に、身体に防御を高める為の毛皮を纏うのだが微妙だ。

だが、この先ドラゴンや猿モドキ等の強力なモンスターを取り込んだら、猿モドキの見た目なのにドラゴンの強靭な筋肉を持つことも可能だろう。

生えた数十本の触手達でうにょうにょとモンスターを全自動で喰らえばいい。

 ハハハ!


先の事を考えると笑いが止まらないぜ。

その為にも今は強くなるように努力しよう。

そろそろゴブリンを狩っても良い頃合いだしな。

安全思考過ぎても何もできん。

と言っても、今なら複数のゴブリンを釣ってきても問題無いけど。

ん?

噂をしたら何とやら、ゴブリンがきやがった。

お、インプもいるな。

魔法系の能力も高めたいから都合が良いな。

ゴブリンは身長130センチくらいで人に似た体形をしている。

緑色の肌をしていて、醜い顔と大きく出た腹が特徴的な凶悪なモンスターだ。

こいつらは知能が高いので、エリートになると魔法を使う個体もいるらしい。

また、森の外に出て人間の集落を襲う事もあるらしく、人種に関係なく女を連れ帰るそうだ。

俺も1回だけだが、森の中で連れ去られる人を見た事がある。

多分、ゴブリン達の苗床にされるのだろう。

インプは赤ん坊くらいの背丈で、黒い肌をしていて背中にコウモリみたいな翼があるのだ。

こいつも魔法を使ってくる。

簡単な魔法しか使えないが、初心者の冒険者にとってはそれだけで強敵だ。

いたずら好きでかなり好戦的な性格をしているので、あまり相手にしたくない奴である。

とにかく見付かると面倒なので隠れて様子を見るか。








気のせいじゃなければ、あいつらスライム狩りをしてないか?

他のモンスターに見向きもせずに、スライムを片っ端から狩ってやがる。

しかも、他にもかなりの数のゴブリンとインプがいやがる。

これはまずいな。

理由は分からんが逃げた方がいいな、こいつらはコポルトなんかよりも数段強い。

物理系の攻撃は問題ないが、魔法系の攻撃はダメージがでかいしな。

それに数も半端ない、とっと逃げn

『イタゾッ!スライムダ!』

『ドコダ!?』

やばい、グズグズしてたら見付かってしまった。

とりあえずこいつを喰っちまうか。

装備からしてゴブリンソルジャー、って感じだから魔法は使わないだろうしな。

という訳で、イ・タ・ダ・キ・マ・ス。

いつもの様にスライムで包み込み、スライム注入で止めを刺す。

さてと初ゴブリンを取り込みますか。

おっ、ステータスが伸びt・・

『コイツ ダ!ドギ ガ クワレタゾッ!』

『ミンナ ヲ ヨンデ クルンダ!』

しまった、見られてしまったか。

目撃者は消すべきだろうな、こいつらも喰っとくか。

スライムを増やして2匹同時に覆い被さり、スライム注入で止めを刺して取り込む。

やっぱり、コポルトよりも伸びが大きいな。

今度からゴブリンを主食にしようk・・

『ヤッパリ コノ スライム ダ!』

『ナンダ コイツ!? スライム ノ ツヨサジャ ネエ。』

『ハナ シテクレ!ナカマ ガ クワレ タンダ!』

また見られたか、数が多いな。

これ以上はまずいか、さっさと逃げr・・

『チカズク ト クワ レルゾ!マホウ ヲ ツカ ウンダ。』

『メイジ ト インプ ヲ ヨンデコイ!』

『ココ ニ イルヨ!』

へ?

今、何て言った?

魔法って言ったのか!?

やばい、逃げないと!

『ファイアーボール!』

『シャドウカッター!』

轟々と音を立てながら、火の玉と影の刃が迫ってくる。

イッテー!

魔防が低いからか、ダメージがでかい。

一撃で32ポイントはやばいな。

てか、メチャクチャ痛い。

ファイアーボールで火傷を負ったみたいだ。

『オイッ!アイツ マホウ ガ キク ミタイダ!』

『モット ウツン ダ!』

しまった、痛みに悶えたせいで弱点がばれてしまった!

ええい、ここは逃げの一手しかないか。

今の敏律なら簡単に振り切れるはずだからな。

『ニガス ナッ!ウテッ!ウテーッ!』

あいつら調子に乗りやがって!

背中から撃つとか卑怯だろ。

クッソー!












こうして冒頭に至った訳だが、腹がたつな。

隠れながら移動して、狩れそうなモンスターを手当たり次第に取り込んで回復をしてきた。

全快したので、これから夕闇に紛れてゴブリン狩りをするつもりだ。

今も俺を探している様で、森のいたる所でゴブリン達が俺を探す声が聞こえる。

だが、こいつらをどうにかしないとこれからの活動を大幅に制限されてしまう。

高い敏律と攻撃力を生かして、手早く静かに狩れば大丈夫のはずだ。

よしっ、覚悟は決まった。

さあ、行こうか!


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