また今日も心の傷が痛むことがあった。
何度「殺され」たらいいんだろう。
でも、生きないと。
居心地の良い場所だけにいるわけにはいかない。
闘わないと。
優しい時間と場所が私にはある。
そうやって生きるのもアリだと確信している。
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大学院時代の後輩と、Jean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)の『Pierrot Le Fou(気狂いピエロ)』について語り合ったことがある。
ゴダールの、あのシニカルな話の運び。
最後も決していい気分にはならない。
そして、虚しい滑稽さを感じる。
主人公のある意味、「自分のやり方ではない」死。
最後に映し出される海。
そのあまりにも、あまりにも、素っ気ないゴダールの視線のずらし方が本当にシニカル。
あの、ある居心地の悪さ。
でも、それが好きだった。
私と後輩は、それを求めていた。
妻とうまくいっていなかったフェルディナンは、マリアンヌという女性(元愛人だったかな)と行動を共にする。
やがて、フェルディナンはその居心地の良さに甘んじるようになり、マリアンヌはそれを嫌うようになった。
そしてマフィアと結託し、フェルディナンを消そうとするんだけど、その前に、フェルディナンはマリアンヌを射殺する。そして、途方に暮れて、まさに「気狂いピエロ」となって、上記のようにダイナマイトを巻き付けて、さて…となったところ、いつもの癖で、タバコに火を付けようとし、「あ!違う…こんなんじゃな…」ともがくも、爆破して死ぬ。自分のことだけ考えている男の最後は滑稽だった。いかにもゴダール的な演出。
そう、居心地の良さは…時に人をダメにするものだ。
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大学院時代のその後輩は、今はロンドン大学に行っている。
「僕は、こんなヤツですから」って。もう同じ30代。でもやるって。
相変わらず、傷つきやすいくせに、強がって、ちょっと哀れで。でも強い精神力があるから、大丈夫。
あんな目に遭ったのにね。何年もよく耐えたよね。
居心地が悪かろうと、必死に自分のすべきことを孤独でもやり遂げる。
そういうの、私たちの好む世界かもしれないね。
居心地の悪さは、人を成長させる。
病気だから、とか、どうのこうのと甘えたくない。
私はずっと病気のことを言わず、大学院時代も過ごした。
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また、連絡するから。
あと、君の言っていたプラハにも行っておいでよ。
薔薇を買うんでしょ。
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Joaillerie