日本人:アイヌは琉球人と近縁 DNA配列の解析で判明
毎日新聞 2012年10月31日 21時46分(最終更新 10月31日 22時10分)
日本列島に住むヒトの集団の中では、北海道のアイヌは本土日本人よりも沖縄(琉球)人と近縁性が高いことを、総合研究大学院大学の斎藤成也教授らのチームがDNA配列の個人差を大規模解析して突き止めたと発表した。チームは最初に日本列島に移住していた縄文人と弥生時代に来た渡来人が混血を繰り返して現在の本土日本人が生まれ、北海道と沖縄の集団は渡来人の影響をほとんど受けなかったとする学説を裏付ける成果と主張。1日付の日本人類遺伝学会の英文誌電子版に掲載される。
日本に招かれたドイツの病理学者ベルツが1911年、アイヌと琉球人には身体的な共通点があることを指摘し、現在も議論が続いている。
チームは東京大学のグループが80年代に北海道平取町のアイヌから提供を受けた血液36人分や、沖縄で採取された琉球人の血液35人分に含まれるDNAを分析。すでに公開されている本土日本人243人のDNAのデータと合わせ、配列の個人差を1人あたり60万カ所程度比較した。その結果、アイヌと遺伝的に最も近いのは琉球人で、本土日本人はアイヌより琉球人や韓国人と近いことが分かったという。【斎藤広子】