石原氏、11月上旬にも新党旗揚げ 次期衆院選には比例で出馬へ
東京都の石原知事は25日午後、都庁で緊急会見し、都知事の辞職を表明したうえで、自らが党首となり、次期衆議院選挙に出馬することを明らかにした。
80歳にして、国政への復帰を目指すとした石原氏だが、新党結成で第3極の結集はあるのか、今後の連携が注目される。
日本維新の会の橋下代表は「『最後のご奉公』っていうふうに言われていましたから、最後の大勝負に出るんでしょうね。まあ、石原都知事のパワーがないと、今の日本の統治機構を変えるっていっても、それはね、難しいですよ、それは」と述べた。
25日夕方、日本維新の会の橋下代表が語った期待感は、東京都庁での電撃発表を受けてのものだった。
石原氏は「きょうをもって、東京の都知事を辞職することにいたしました。私これからもう1回、国会に復帰しようと思っていますし、新党をつくって、仲間と一緒に復帰してやろうと思っています」と述べた。
石原氏は突如、知事の辞職と新党の結成を表明した。
石原氏は「(年齢は80歳?)そうです。まさしく80歳なんだ。なんで、俺がこんなことやらなくちゃいけないんだよ。若いやつ、しっかりしろよ。わたしも命のあるうちに、最後のご奉公をしようと思って。この日本を支配しているのは、非常に硬直したね、中央官僚の支配制度っていうのは変えなきゃだめです、この国は」と述べた。
国政復帰となる次期衆院選には、比例代表で出馬する意向を示した。
電撃発表後、石原氏はすぐに、たちあがれ日本の党本部を訪れ、平沼代表と新党について会談した。
平沼代表は「2年半待っていましたから、ようやく実現をして良かったなというのが、わたしの感想です。(たちあがれ日本は)解党して、新しい政党をつくると。そして、石原さんを代表にする」と述べた。
来週にも、たちあがれ日本を解党したうえで、11月上旬にも新党を立ち上げるという。
たちあがれ日本に所属する国会議員5人は、新党に参加し、数十人規模の候補者を擁立する考え。
そして、次期衆院選で台風の目となる日本維新の会について、石原氏は「まず、連携・連帯でしょうね。そのことで、なんていうのかな。政策のすり合わせもね、ずいぶんしてきましたから、橋下さんとは。それは、連合になるかはわかりませんよ。やっぱり、あるステージが来たら、そうなるかもしれない」と述べた。
はたして連携はあるのか。
日本維新の会の橋下代表は「政策で一致をしなければ、それは国民の皆様にそっぽを向かれます。野合じゃだめです、今回は」と述べた。
連携を明言しなかった橋下代表だが、国会議員団の松野代表は「何らかの形で連携できればということは、大変好ましいことだと思っています」と語った。
日本維新の会との連携を模索するみんなの党。
第3極の結集はなるのか。
みんなの党の渡辺代表は「石原新党が原発を容認する、あるいは増税を容認するということであれば、これはもう、民自公の幕藩体制の補完勢力であると。『維新』が聞いてあきれる」と述べた。
石原氏の国政進出について、東京都民に聞いた。
都民は「(国政に)出たら、やっぱりやるでしょう。それだけの国民の支持はあると思うよ、石原さんは」、「新党が多すぎてね、しまいには、誰にどこに入れていいか、わからなくなっちゃう」などと話した。
一方、都庁職員からは、戸惑いの声が上がった。
都庁職員は「みんな、職員はテレビにくぎ付けで、今後どうなるっていうような話をしておりました」、「いつもは、4年の区切りで代わるということなんで、まあちょっと戸惑い半分みたいな感じもありますけど」などと話した。
会見後、石原氏は都議会議長に辞職届を提出した。
後任の都知事候補には、猪瀬副知事を指名している。
次の東京都の新しい顔を選ぶ選挙は、遅くとも12月中旬までに行われる見通し。
猪瀬副知事は「都政に空白がないように、全力でまず今の筆頭副知事の立場で仕事を続けるということが前提です。(都知事選に出馬する明確な気持ちはまだない?)はい、そうです」と述べた。
次の総選挙にも影響を与えかねない石原新党の登場に、永田町では警戒感が広がった。
民主党の細野政調会長は「われわれとしては、今後の動きについては、注視をしていかなければならないというふうには思います」と述べた。
自民党の石原前幹事長は「ちょうど移動していて、見てないんだよ。帰って、だから、ビデオで見ようと思って。(事前に話は?)ないです」と語った。
自民党の安倍総裁は「われわれはですね、ほかの党のことを気にするのではなくて、私たちの理念、そして政策をしっかりと訴えていくことによって、次の近いうちに行われるであろう総選挙において、政権奪還を目指していきたいと思います」と述べた。
一方、尖閣諸島購入を表明し、日中関係悪化のきっかけを作った石原氏の国政復帰宣言に、中国の国営メディアは、会見開始15分後に速報で伝え、夕方のニュースで「島購入の茶番劇を始めた人」として、人物像を紹介した。
北京市民は「どんな態度を取るかでしょう。尖閣諸島で今の立場に固執するなら、中国にとってよくない」と話した。
また、竹島の領有権問題を抱える韓国のソウル市民は「極右の方が新党をつくって、政権まで取るのであれば、現在の敏感な問題が多い韓国が、よくない方向に流れるのではないかと憂慮している」と語った。
波紋を広げる石原氏の国政進出。
石原新党は、国民からどの程度の支持を集めることができるのか。