民主、自民、公明3党の党首会談に先週19日、出席した。私は、野田佳彦首相のあまりの不誠実さ、無責任さに、怒りを覚えずにはいられなかった。これでは、とても信頼関係を築くことはできない。きっと、公明党の山口那津男代表も同じ思いではなかったか。
前日の3党幹事長会談で、民主党の輿石東幹事長は、野田首相が「近いうち」とした次期衆院選について、「具体的な新しい提案がある」と明言した。ところが、野田首相は「真剣に受け止める」と語るだけで、「特例公債法案の処理」と「衆院の格差是正」などを求めるだけだった。
民主党は前回衆院選で「消費税を上げない」と国民に約束して政権を獲った。180度近い政策変更だけに、本来ならば解散総選挙で信を問うべきである。だが、野田首相が「(法案成立後)近いうちに信を問う」と約束したため、谷垣禎一前総裁は「政局より政策」と判断し、自民党を法案賛成でまとめた。
総裁交代時に申し送りされているが、野田首相は谷垣氏との会談で、「自分は来年度予算の編成はしない」とも約束したという。予算編成は12月中旬に財務省原案が内示され、同月末に政府案決定となる。つまり、野田首相は「年内解散」も約束しているのである。
最近、野田首相が来年度の予算編成に意欲を示していたが、一体どういうつもりなのか。政権に居座るためならば、野党や国民にウソをついても構わないのか。「近いうち」発言は国内外に広まっており、野田内閣は内政・外交ともに行き詰まっている。1日も早く、解散総選挙を行い、民意を受けた内閣が政権を担当すべきだ。
それにしても、外国人献金や暴力団関係者との交際が発覚し、23日に辞任した田中慶秋法相には、あきれて物がいえない。先週、出席を求められた国会を欠席したが、これは国務大臣の議院出席の義務を規定した憲法63条違反である。
田中氏自身は出席しようとしたが、首相官邸や民主党国対が強引に止めたという情報もある。ドイツ法務省局長の午後2時からの表敬訪問を、午後1時から待機するなど、その欠席理由はまともではない。政府・与党による、許しがたい国会軽視というしかない。
さて、私は17日、自民党総裁として、秋季例大祭が行われていた靖国神社を参拝した。国家・国民のために尊い命をささげられた英霊に対して、尊崇の念を表するための参拝である。
米国大統領も年に数回、戦没者慰霊施設であるアーリントン国立墓地に献花するという。こうした行為は各国リーダーの責任でもある。外国にとやかく言われる筋合いはない。そのことによって国が守られ、地域の平和や安定が守られている。(自民党総裁)