岩手のニュース
岩手の秋サケ漁、出足低調 平均の30%弱 回帰数減少響く
 | 定置網は復旧しつつあるが、秋サケの漁獲量は低迷している=9月6日、岩手県大槌町の大槌湾 |
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かつて岩手県の漁業・養殖業生産額の2割を占め、水産業の主軸だった秋サケ漁が、東日本大震災からの復興を期す本年度も、過去5年の平均漁獲量の30%弱と出足が低迷している。定置網は震災前の70%程度まで戻ったものの、回帰数量の減少傾向が止まらない。 県水産振興課の秋サケ漁獲速報によると、今月10日までの漁獲量は26万2831キログラム。2007〜11年度の同日までの平均88万464キログラムの29.9%で、震災直後の11年度の23万6523キログラムを辛うじて上回る水準にとどまっている。 定置網は11年度、震災前の135カ所の62.2%に当たる84カ所が復旧。本年度は既に73.3%の99カ所が稼働しており、11月下旬の漁のピーク時にはさらに増える見込みだが、漁獲量だけが回復しない。 県が指摘するのは、資源自体の減少。県水産技術センターの予報によると、本年度の秋サケ回帰数量は545万匹で、ピークの1996年度の2447万匹を大きく下回る。原因に海水温の変化などを挙げる声もあるが、県は「はっきりとは分からない」としている。 県は被災したふ化・放流施設の復旧を急ぐ。ふ化場は震災で21カ所損壊したが、11年度に一部復旧も含め18カ所が再開。本年度はさらに1カ所増え、11年度より7000万匹多い3億6000万匹の放流を目指す。 国の統計によると、震災前の10年、岩手県の漁業・養殖業生産額384億円のうち、サケは75億円で19.5%を占める。漁獲量が被災した沿岸の水産加工業や流通業の復旧・復興に及ぼす影響は大きい。 県水産振興課の担当者は「ふ化場を復旧させて放流数を増やすとともに、回帰率を上げる研究を進めている。数年先には漁獲量を回復できるようにしたい」と話す。
2012年10月25日木曜日
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