(2012年10月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国の上場企業で未回収の売上債権が7~9月期に急増したことが明らかになった。これは中国の景気減速により企業の財務状況が悪化していることを最も明確に示す兆候の1つだ。
■決算発表した上場企業の66%で増加
フィナンシャル・タイムズ紙がS&PキャピタルIQのデータベースを分析したところ、7~9月期決算を発表した中国上場企業の66%が、売上高に対する未回収の売上債権(いわゆる会計上の売掛金)が前年同期比で増加したことが分かった。
中国の今年の経済成長率は8%未満と過去10年超で最も低い水準となる見通しだ。国際的な基準からするとまだ高いが、多くの企業は2桁成長を見込んだ投資をしてきており、売掛金の急増は景気減速で企業がいかに不意を突かれたかを示している。
特に影響を受けているのが建設、インフラ関連の企業だ。
世界9位の機械メーカーである三一重工は7~9月期末の売掛金が年初に比べて83%増の210億元(34億ドル)になったと発表した。「マクロ経済環境の影響により、売上債権の返済がやや滞っている」と同社は説明する。
別の機械メーカーも似たような状況だ。上海市場に上場するファーストトラクターは売掛金が年初から169%増加した。30日の決算発表によると、中聯重科(ズームライオン)は7~9月期末の売掛金が年初から69%増加した。
■年内に改善との見方も
もっとも中国政府の景気刺激策の効果が表れて、売掛金の増加問題が年内に改善するという楽観的な見方もある。「これは遅行指標であり、次の四半期には解消するだろう」と英HSBCのエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏はみている。
中国の銀行には一見して、与信上の問題を示す兆候はほとんどない。銀行業界全体の不良債権比率は1~6月期末時点でわずか0.9%だった。しかし期日を過ぎた貸付は若干増加しており、銀行は不良債権の簿外処理によって資産の質の深刻な劣化を隠しているのではないかと考えるアナリストも多い。
By Leslie Hook and Jennifer Hughes
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