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卓上四季

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燃氷

幕末の探検家松浦武四郎はかつてアイヌ民族と和人居住区の境界地だった「山越内(やまこしない)」(現渡島管内八雲町)で、石油が湧いているのを確認している▼「東蝦夷(えぞ)日誌」には「息水油(くそうづ)の湧き出る所がある。池田某(伊右衛門)がこれを見いだして、近ごろ取り始め、疥癬(かいせん)の薬にして出している」とある。「息水油」とは「石油」で、皮膚病の塗り薬として用いられていたようだ▼「八雲町史」によると、幕府もこの資源に注目。米国人の鉱山師を招いて現地を調査させている。明治5年(1872年)には、あの榎本武揚も試掘をしたが、事業化するには至らなかった▼それから140年。海底の浅い所にある「燃える氷」は、次世代を担うエネルギー資源になりうるだろうか。北見工大や明大などの研究チームが、網走沖のオホーツク海と秋田、山形、新潟県沖の日本海の海底下数メートルに「メタンハイドレート」が分布しているのを確認した▼比較的掘り出しやすい場所ということで、期待は高まる。石油資源開発は先ごろ、秋田県内で頁岩(けつがん)(シェール)層に含まれる石油(シェールオイル)の採掘に成功した。“資源小国”との枕ことばを返上できそうだ、と鼻息も荒くなりがち▼ただ、これまで熟睡していたエネルギーを目覚めさせる技は、素人目にはかなり強引にもみえる。くれぐれも地球を痛がらせないように。お願いします。2012・10・31

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