« レアア-スの対日輸出制限で自ら首を絞めた中国 | トップページ

2012/10/31

自然エネルギー促進(太陽光発電)の失敗をドイツに学べ

私は、脱原発や反原発の主張に頭から反対するものではない。
が、それを主張する以上、原発に取って代わる代替エネルギーを責任もって提示するべきである、というのが私の立場だ。
代替エネルギーを具体的に示さず、ただ反対するだけでは、それは昔の観念的左翼(社共及び過激派)と同じ「反対のための反対」にすぎない。

石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料は、CO2を大量に発生させるという点で環境に対する負荷が大きすぎる。
また、資源に乏しい我が日本は、これらをほとんど輸入に頼っており、経済面でも安全保障面でも国家にとってマイナスである。

では、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料ではない代替エネルギーはあるのだろうか?
反原発派は、自然エネルギーの開発、活用を声高に叫ぶ。
中でも太陽光発電がその目玉であり、反原発派はドイツの例をよく挙げる。
では、そのドイツの現実はどうなのか?

興味深いレポートがあったので、以下に丸ごと転載する。

-----------------------------------------------------------------

~以下引用~

いち早く「脱原発」に舵を切ったドイツで、太陽光発電が急速に萎んでいる。

ドイツはCO2削減を目的に2000年に再生可能エネルギー法を施行し、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの「全量固定価格買い取り制度」(FIT)を導入。いわば、日本が「お手本」としている国だ。そのドイツがいま、電気料金の高騰に苦しんでいる。

買い取り価格引下げ、数年後には買い取り中止に

太陽光発電の先進国ドイツが、電気料金の高騰で電力政策の見直しを余儀なくされた。2000年に導入した再生可能エネルギー法を12年6月末に改定し、太陽光発電の買い取り価格の20〜30%の引き下げと、太陽光発電の累計設備容量が5200万キロワットに達した後は太陽光発電の買い取りを中止することを決めた。

ドイツの太陽光発電はすでに設備容量が累計で2700万キロワットに到達しており、2016年にも5200万キロワットに達するとみられている。

これまでは全量を20年間、固定した価格で買い取ってきた。太陽光発電の設備投資には補助金も出され、それを追い風に太陽光発電の設備容量は2005年以降、世界第1位だ。

ところが、発電電力量に占める割合は電力全体の3.3%に過ぎない。さらには電気料金が高騰し、国民負担が大きくなってきた。

ドイツではFITを導入した2000年以降、電気料金は上昇傾向にあり、家庭用は2000年時点に比べて1.8倍以上も上昇した。

ドイツの電力事情に詳しいNPO法人国際環境経済研究所の竹内純子・主席研究員は、「ドイツのFITでは、大規模需要家は国際競争の観点から費用負担が大きく減免されているのですが、それ以外は電力消費量に応じた負担ですのでやはり不満が大きく、実際に繊維業界が先日、再生可能エネルギー法が憲法違反であるとして訴訟を起こしました。さらに脱原発に伴い、電気料金が上昇すること、また供給に対する不安が出ています。ある大手銅メーカーは10分の1の停電でも生産ラインが停止してしまうとし、停電の少ないドイツに生産拠点を置くメリットが失われつつあることに懸念を表明しています」と説明する。

また、供給が不安定な太陽光発電をバックアップする発電所として火力発電所を維持する、「二重の設備投資」を強いられ、そのコストも電気料金にのしかかる。さらにドイツでは石炭や褐炭が採掘でき、安く手に入ることもあって、石炭・褐炭による発電所がいま続々と建設されていて、その費用も上乗せされる。

石油や石炭・褐炭への依存度が上がれば、CO2排出量も上がるのだから、何のために再生可能エネルギー法を施行し、FITを導入したのかもわからなくなっている。

産業育成にも結びつかず、補助金もバラマキに終わる

まだある。ドイツの太陽光発電メーカーは、中国メーカーによるダンピング競争に巻き込まれ、一時は世界のトップメーカーだったQセルズまでも破たん。産業育成にも結びつかず、補助金もバラマキに終わった。

なぜ、ドイツの太陽光発電はこれほどまでに後退しているのだろう——。前出の竹内氏は「ドイツでは太陽光発電の稼働率が10%程度であることなどはわかっていたはずですが、再生可能エネルギーの導入による負担上昇や、産業政策上では中国との価格競争について見誤ったといえます。また、太陽光発電事業者の政治的ロビーイングが激しかったことは大きく影響しているでしょう」とみている。

竹内氏は、「ただ、こうした状況はいまの日本にそのまま当てはまります」とも指摘する。

ちなみに、政府の試算では2030年の「原発ゼロ」を目標にすると、家庭の電気料金を含む光熱費が月額で最大3万2243円となり、2010年実績(1万6900円)の約2倍に上昇するという。

J-CASTニュース 9月8日(土)13時0分

~引用終わり~

-----------------------------------------------------------------

Taiyoko

結論から言うと、ドイツの太陽光発電普及促進政策は失敗である。
電気料金の高騰(家庭用は1.8倍以上も上昇)、安定供給に対する不安(稼働率が10%程度)、産業政策上の失敗(中国メーカーによる寡占)―
これらに耐え切れず、ドイツでは2000年に導入した再生可能エネルギー法を2012年6月末に改定し、太陽光発電の買い取り価格を20〜30%引き下げた。
そして、太陽光発電の累計設備容量が5200万キロワットに達した後(2016年)は、太陽光発電の買い取りを中止することを決めた。

再生可能エネルギー法による自然エネルギーの普及促進政策が、結果として化石燃料による発電所の急増をもたらしたのだから皮肉である。
が、自然エネルギーの普及促進及び脱原発を掲げたドイツの現実がこれなのだ。
ドイツを周回遅れで後追いしている我が国は、この現実をシビアに受け止めなければならない。
しかも、ドイツは石炭や褐炭が国内に豊富であるが、我が国に(経済的に採掘可能な)化石燃料はほとんど存在しない。

要するに、我が国の方がドイツより脱原発、反原発を推進する上での条件及び環境は厳しいのだ。
これらを無視してドイツを見習えと言う。
見習うのなら、太陽光発電に関するドイツの経験(失敗)を真剣に学べ!と言いたい。

政治的意図に基づく、あるいはムードに流された脱原発・反原発に私は反対する。

人気ブログランキングへ
人気ブログランキング

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ
にほんブログ村

makotoban

|

« レアア-スの対日輸出制限で自ら首を絞めた中国 | トップページ

社会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91171/56010956

この記事へのトラックバック一覧です: 自然エネルギー促進(太陽光発電)の失敗をドイツに学べ:

« レアア-スの対日輸出制限で自ら首を絞めた中国 | トップページ