言い換えると、いまだに大きく複雑な機械の自動車には消費者は上乗せ価格を払う気がある一方で、薄型テレビはますます製品間の区別がつかなくなっているのだ。今のハイテク界の勝者が、アップルなどソフトウエアやデザインの革新者と、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業といった低コストの巨大ハードウエアメーカーだとすれば、日本企業は採算の合わない中間地点で身動きできずにいる。
■消費者に依存するほど負け戦
日本勢は事態を好転できるのか?逆説的だが、ここではブランドの認知度と楽観論は反比例する傾向がある。テレビやビデオカメラといった消費者向け製品に対する依存度が高いほど、工場用ロボットやエレベーターの場合と対照的に、会社の見通しは暗くなる。
例えば、シャープが売上高の60%をテレビから得ているのに対し、売上高で日本最大の電機メーカーである日立製作所は、家電製品全部を足しても売上高の10%に満たない。残りは、発電所や採掘装置、新幹線など、利益を維持できた分野から得ている。日立は2009年に始めた高くつくリストラを経て、業界のトレンドに抗い、過去2年間黒字を出した。
「すべての会社が頼みの綱となる、その他の事業を持つわけではない」とCLSAのゴヤル氏は指摘する。
頼れる事業がない企業は、価値の高い隙間市場に焦点を絞ることがカギと同氏は語る。レンズ交換式カメラの上位機種でのニコンなど、それを達成できた企業は一握りしかない。「残りの企業については楽観的になれない。彼らは負け戦を戦っている」
By Jonathan Soble
(翻訳協力 JBpress)
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