ソニーやパナソニックなど、消費者向け製品の比重が最も高い電機大手は、世界金融危機が始まって以来、時価総額を最大で85%も失い、現在は数十年ぶりの安値で取引されている。
電機メーカーにとって、自動車メーカーとの相違がもたらす厄介な影響は赤字を円高のせいにしにくいことだ。金融危機が始まって以来、円は主要通貨に対して50%上昇し、輸出の採算は合わなくなり、海外収入は目減りした。
ソニーは昨年、円高のせいで、同社の試算では320億円の潜在的な営業利益を失った。だがトヨタでは、円高はその8倍近い2500億円の減益要因となった。ソニーのほぼ3倍に上る売上高を考慮しても、やはりトヨタの方が負担は大きい。
■タイミングの問題か
明暗を分けた理由はタイミングとする説もある。世界の自動車販売台数は世界金融危機が始まった時に特に急激に落ち込み、米国市場は2007年の1600万台から2009年の1000万台に激減した。自動車メーカーは早急なコスト削減と事業再編を余儀なくされた。
今やサイクルは上昇に転じ、米国や日本などの大市場では繰り延べされた需要の波に乗って販売が回復している。6月に米国の自動車販売台数は前年同月比で2割強増加した。
だが、タイミングがすべてではないはずだ。自動車業界の最悪期――例えばトヨタが60年ぶりの最終赤字を発表した2009年でさえ、日本の自動車メーカーは、現在ハイテク業界の一部を覆う深刻な悲観論を免れた。ソニーやパナソニック、シャープが現在進める大幅な削減と異なり、日本の自動車工場の人員と生産の調整はおおむね一時的で済んだ。
■理由は製品そのものに
一部のハイテク企業にとって、もう1つ、もっと辛い説明がある。現在の苦境の根本的な原因は各社の製品そのものという説だ。
ゴールドマン・サックスのアナリストらは「主要な(家電)製品は中期的にコモディティー(汎用品)になるという、構造上の問題がある」と指摘する。
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