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「スプリントではファーウェイの通信機器は使わない」:孫社長、ヘッセCEOが会見で

2012.10.22

ソフトバンクの孫正義社長とスプリント・ネクステル(Sprint Nextel:以下、スプリント)のダン・ヘッセ(Dan Hesse)CEOが米国時間18日にニューヨークで行った報道関係者とのインタビューのなかで、スプリントでは中国のファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies:以下、ファーウェイ)の通信機器は採用しないとの考えを明らかにした。

米国では先ごろ、連邦議会下院の諜報委員会(The House Intelligence Committee)が、ファーウェイおよびZTEという中国の大手通信機器メーカー2社の製品について、「米国の安全保障を脅かす可能性がある」とする調査の結果を発表し、米国内の通信事業者や政府納入業者などに対し、両社との取引の停止や、両社製製品の利用取りやめを求める勧告を出していた。これに対し、中国政府商務省や両社からはこの調査報告を言いがかりとする非難の声明が出されていた。さらにホワイトハウスが行った別の調査では、ファーウェイがスパイ行為を行っていることを裏付ける具体的な証拠は見つからなかったとする調査結果も公表されていた。

ヘッセCEOは、FTに対し、「スプリントは米連邦政府の大手納入業者であり、安全保障上の懸念を抱かせるような製品はいかなるものも使わない」と述べ、過去に実施した業者選定の際にもファーウェイを候補から外した例があることを挙げた。同社が「Network Vision」と名付けた通信網アップグレード計画を打ち出した際には、業者選定に関して米商務長官からヘッセCEOに電話があり、ファーウェイ製品の導入に対する懸念が伝えられたという。

いっぽう、孫氏はBloombergに対し、ソフトバンクがファーウェイおよびZTEの製品を導入していることに関して、「ソフトバンクにとって、ファーウェイは重要なサプライヤーではない」「ファーウェイやZTEの製品を導入しているのは、ソフトバンクグループ傘下の子会社のひとつに過ぎない」とした上で、「米国では、政府がこの問題に敏感になっていることは承知しており、さらにわれわれは国家の安全保障(の重要性など)を理解している」と述べ、「米国政府の判断が『使うな』というのであれば、われわれはその判断に従う」とコメントしている。

なおBloombergでは、ソフトバンクによるファーウェイおよびZTEからの資材調達について設備投資全体の約10%とするデータを紹介。また同社のLTE網構築に関しては、アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)とエリクソン(Ericsson)がコアネットワーク部分を担当し、ファーウェイとZTEからはベースバンドユニットやアンテナシステムが納入されていると記している。


【参照情報】
Sprint rules out using Huawei equipment - FT
Huawei May Surface in U.S. Review of Softbank-Sprint Deal - Bloomberg
Sprint CEO: We likely won't use Huawei gear - Fierce Wireless
「ファーウェイによるスパイ行為の証拠は見つからず」- ホワイトハウスが調査結果公表
中国政府、ファーウェイとZTEに関する米下院報告書に猛反発
ファーウェイ、ZTEは「安全保障上の脅威」 - 米下院委員会が取引中止を勧告


三国大洋(スタッフライター)

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