中国

米国で広まる中国企業排斥の動き

肥大化した徳なき「大国」の自業自得

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 「アメリカの対中強硬は、中国消費者による税金や就業も追い払うことにもなり、米サービス業にとって受け入れがたいものになる。中国はアメリカの大学に学生を多数送り出している、旅行業も、飲食業も、航空業も、ホテル業も中国人旅行客によって潤っている。アメリカの対中友好はアメリカ政府の必然の選択だ」

 どこかで聞いたことのある台詞だ。中国の消費力をちらつかせて「痛い思いをしたくないだろう」と迫るいつものやり口だ。南沙諸島のスカボロー礁で中国とにらみ合うフィリピンは「バナナの輸入ストップと旅行の取り消し」という同様の制裁を中国から受けた。

 いつの間にか世界は、「カネが欲しいなら言うことを聞け」という中国の傲慢な商売に組み敷かれるようになってしまったようだ。

三一集団はなぜ提訴したのか

 中国企業の間には、大統領選の季節に候補者が毎回中国バッシングを展開するのは「票田稼ぎのためのいつものパターン」という楽観論もある。だが、三一集団はそんな中でオバマ大統領を訴訟に持ち込んだ。一体どうして訴訟という強硬な手段に出たのか。

 同社は「たかだか2000万ドルの損失のために訴訟を起こしたのではない」と言う。

 同社総裁の向文波氏は、北京で開催した記者会見の席で「我々は中国国民に教育を与えたい。世界貿易が一体どんなことになっているかを、中国の全国民に訴えたい」とコメントした。

 今回の建設中止に対し「約束が違うじゃないか」というのが中国側の言い分だ。これには中国商務部も共に闘う構えで、「アメリカ政府の行為はアメリカの法律に違反するだけではなく、中米両国が80年代に署名した投資保護協定にも違反し、米中両国の直接投資の発展に重大な影響をもたらした」と強調する。

 インドやデンマークなど外国企業が行う風力発電プロジェクトは制限地域にもかかわらずCFIUSの審査が及んでいないことも、三一集団の不服とするところであった。

 ちなみにCFIUSは、米財政省が設立した外国企業のアメリカにおける経済活動が国家安全に影響をもたらすか否かについて審査をする一機関であり、財政省のほか商務省、司法省、国土安全保障省、国防総省などからの混成機関となっている。

 「金銭より重要なのは尊厳だ。不公正な扱いを受けて黙って引き下がるのは三一のやり方ではない」と断固闘う姿勢だ。「教育を与えたい」という一句には、「後に続く中国企業はこの訴訟に学べ」という強いメッセージが込められているとも受け取れる。

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