PC遠隔操作:誤認逮捕「痛み癒えぬ」…男性の父が文書

毎日新聞 2012年10月31日 00時31分

 横浜市のホームページ(HP)に小学校襲撃予告が書き込まれた事件で、静岡家裁浜松支部=桐ケ谷(きりがや)敬三裁判官=は30日、威力業務妨害の非行内容で送致された男性(19)の保護観察処分(8月15日付)を取り消す決定を出した。決定を受け男性の父親は「息子本人と家族の苦悩と心の痛みは決して癒えない」などと記した文書を弁護士を通じて出した。男性側が初めて胸の内を明らかにした。【平塚雄太、山田麻未、山下俊輔】

 ◇保護観察処分を取り消し

 また、男性が神奈川県警の取り調べで、わずか2秒間で予告が書き込まれたことを示す資料を見せられ「2秒じゃ(書き込みは)無理じゃないですか」と反論していたことが、捜査関係者への取材で分かった。捜査員は「事前に文面を作っておけば可能じゃないか」と取り合わず、この問題はその後触れられなかったという。

 父親は文書で、県警や横浜地検の調べを「理不尽な質問で繰り返し問い詰められ続けました」「真犯人の方がはるかにすぐれたコンピューターの技量を持っている」と批判している。

 浜松支部の決定は、刑事裁判の再審無罪判決に当たる異例の司法判断だ。横浜地検が誤認逮捕と認め今月23日に取り消しを求めていた。捜査当局に加え裁判所も冤罪(えんざい)を見抜けなかったことになる。

 ウイルス感染したパソコン(PC)などから遠隔操作で犯罪予告が書き込まれた一連の事件では、4都府県の警察が計4人を誤認逮捕、男性以外の3人は裁判所の判決が下る前に、起訴取り消しや不起訴処分となった。

 決定は検察側の請求を基に、真犯人は「犯行声明」の人物である可能性が極めて高いと指摘し「男性が非行内容を犯したと認めるに足りる証拠がない」と述べた。

 静岡家裁総務課は、男性への謝罪や誤判の検証に関する取材に対し「個別事件についてはコメントできない」と繰り返した。

 ◇最も悲しいのは息子の無実疑ったこと

 男性の父親が弁護士を通じて出した文書の要旨は次の通り。

 大学生の息子は、学業半ばにして深夜突然、連行・逮捕されました。強い否認にもかかわらず、十分なパソコンデータの解析も行われないまま、警察・検察双方からの不当な圧力を受け、理不尽な質問で繰り返し問い詰められ続けました。「自分がやった」という自供をし、保護観察処分となりました。真実を封印しながら生きていくことを選んだ息子の胸中を察すると、親としては断腸の思いです。

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