なりすましメール事件で誤認逮捕され、保護観察処分となっていた19歳の男子学生に対し、静岡家庭裁判所浜松支部が処分を取り消しました。
19歳の男子学生は6月、横浜市のホームページに「小学校を襲撃する」などと書き込んだ疑いで神奈川県警に逮捕され、静岡家裁浜松支部から威力業務妨害の非行内容で保護観察処分とされていました。その後、真犯人からとみられるメールが届くなど、第三者が男子学生のパソコンを通じて犯行予告を書き込んだ可能性が強まり、23日には、横浜地検が書き込みは男子学生ではないとする資料を静岡家裁浜松支部に提出していました。これを受け、家裁は、書き込みは男子学生ではない可能性が高いとして、30日付で処分を取り消しました。男子学生の父親は「警察・検察双方から不当な圧力を受け、理不尽な質問で繰り返し問い詰められ続けた」「無実である証拠が出てくることを切望し、待ち続けながらも、諦めざるを得なかった息子の心情を思うと、やり切れないものがある」「そして、真実を封印しながら生きていくことを選んだ息子の胸中を察すると、親としては断腸の思い」とコメントしています。さらに、「警察の構造的な問題、体質的な問題であり、本来、国民を守るべき警察が、捜査の怠慢によって無実の国民、しかも少年を誤認逮捕し、冤罪(えんざい)に至らしめるという最もあってはならない事態」と捜査当局を厳しく非難するとともに、「このようなことが二度と起きないように、徹底的な検証と意識改革をするべき」としています。男子学生が送ったとされる犯行予告メールを巡っては、横浜市のホームページにアクセスしてから、わずか2秒間で約300文字が書き込まれていて、神奈川県警は当初から不自然さを認識していました。しかし、この不自然さを解消しないまま送検し、横浜地検も裏付けを怠っていました。神奈川県警と横浜地検は、男子学生や家族に謝罪しています。