10月12日―19日のニュース

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参院選も「違憲状態」 一票の格差で最高裁

 

制度見直し必要 議員は「厳しい」

 

 

 「一票の格差」が最大5倍の差がついた2010年7月の参議院選挙について、最高裁判所は10月17日、「違憲状態」とする判断を示した。最高裁は去年3月にも、最大格差が2.30倍だった09年の衆議院選挙について「違憲状態」と判断しており、今回の判決で、衆参両院が「違憲状態」となる史上初の事態となった。



 前回の参院選で格差が最大だったのは、議員1人あたりの有権者数が約24万人の鳥取県と、約121万人の神奈川県の間の5倍。選挙区によって有権者数が異なるため、一人ひとりが投じる一票の重みに差が出ることが問題で、弁護士らが選挙無効(やり直し)を求めていた。
 最高裁は選挙無効の請求は退けたが、都道府県を選挙区とする現在の制度そのものの見直しを求めた。最高裁はこれまで、参院選で「違憲」と判断したことがなく、その手前の「違憲状態」も、最大格差が6.59倍に達した1996年以来2度目。6倍を下回る格差について、「違憲状態」と判断したのは初めてだ。
 判決では、衆院選では人口の少ない県へ配慮し、すべての都道府県に最低1議席を配分する「1人別枠方式」が格差を広げる原因になっていると指摘した。



 衆参両院ともに「違憲状態」と指摘された政界では、野田佳彦首相が「厳粛に受け止めている」と話す一方、「厳しい」との受け止めが議員に広がっている。
 民主党と自民党は8月の通常国会に、来年夏の参院選から東京と千葉の選挙区で定数を2増やし、栃木と群馬で2減らす「4増4減」法案を提出しており、この法案さえ成立すれば「当面は違憲状態を解消できる」という一時しのぎの考えが各党に浸透している。
 衆参の選挙がいずれも1年以内に迫るなか、都道府県単位の現行制度を抜本的に見直す動きはない。国民に消費増税を強いながら、自分の選挙で不利益になりそうなことには二の足を踏む国会議員が多いということだろうか。
【「違憲状態」と「違憲」】最高裁判所は「投票価値に著しい不平等が生じている状態」を「違憲状態」とし、それが「相当期間続いているのに正されない場合」に「違憲」と判断する枠組みをとっている。

 

ノーベル平和賞に欧州連合 12日

 ノルウェーのノーベル賞委員会は、今年のノーベル平和賞をヨーロッパ27カ国が加盟する欧州連合(EU)に贈ると発表した。第2次世界大戦の反省を踏まえて国家間が歩み寄り、国境を超えた統合の成果に光を当てた。
 ギリシャの財政危機が発覚した2009年から続く、長引く経済危機を克服し、揺らぐ結束を取り戻すよう促す授賞でもある。
 団体への授賞は、07年の国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」とゴア元米副大統領以来。27カ国の共同体への授賞は異例の決定だ。日本では1974年に、64年から72年まで首相を務めた佐藤栄作氏が日本人として初めて受賞した。

 

日本人研究者「iPS臨床応用」 米大学が関与否定 12日

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った臨床応用を、米ハーバード大学の森口尚史氏(48)らが世界で初めて行ったと、一部メディアが報じた。しかしハーバード大学や関連病院などは、森口氏とは現在、関係はなく、「彼に関係するいかなる研究も承認していない」とする声明を発表。「世界初」とされたiPS細胞による臨床応用のニュースは、一転して誤報とわかった。
 森口氏は現在、東京大学病院の特任研究員。肩書を詐称した疑いがあり、医師の資格はなく、看護師の資格をもっているという。森口氏は13日、滞在先のニューヨーク市内のホテルで記者会見し、国際会議で発表しようとしていたiPS細胞を使った手術について、時期や回数などに虚偽が含まれていたことを認めた。虚偽の説明については「道義的責任を含め、申し訳ない」と謝罪した。
【iPS細胞】皮膚などの細胞に遺伝子を加え、心臓や神経など体のさまざまな細胞になれる能力をもたせた細胞のこと。難病に苦しむ人たちの治療に役立てられることが期待されている。
 iPS細胞を作製した京都大学の山中伸弥教授に今年のノーベル医学生理学賞が授与されることが決まっている。

 

カンボジアのシアヌーク前国王死去 15日

 カンボジアの独立や内戦の収拾にあたったカンボジアのシアヌーク前国王=写真、在日カンボジア大使館提供=が療養先の中国・北京で死去した。89歳だった。
 シアヌーク前国王はフランス統治下のプノンペンで1922年に生まれ、41年に18歳の若さで国王に即位。53年に独立を勝ち取るまで、独立運動の先頭に立ち続けた。
 東西冷戦中には、他国と同盟を結ばず中立路線をとり、両陣営からバランス良く支援を引き出すなどの実績をあげる一方、70年に親米派によるクーデターで国を追われたり、75年にポルポト政権に幽閉されたりした時期もあった。
 カンボジアに戻ると、国連と協力して内戦の収束に努めた。93年には国王に復位したが、2004年に高齢を理由に退位し、息子のシモハニ王子が国王となった。

 

米兵2人逮捕、女性に乱暴の疑い 沖縄 16日
 沖縄県警察は、沖縄本島内で県内の成人女性に乱暴したとして、米海軍兵2人を集団強姦致傷の疑いで逮捕した。仲井真弘多知事は「正気の沙汰ではない」と発言し、米国大使館や官邸に対し、事件への厳正な対応を求めた。
 外務省に呼ばれたルース駐日米国大使は「県民の怒りは理解する。捜査に全面的に協力する」と話した。
 沖縄では米軍の新型輸送機オスプレイの配備中止や米軍が起こす事件の防止を求める動きが広がっている。その矢先の事件に、県民らから怒りの声が上がっている。
 米兵による犯罪はたびたび発生しており、8月にも那覇市で海兵隊員が女性を乱暴する事件が起きている。

 

12日▽ノーベル平和賞に欧州連合(EU)―欧州統合「平和に貢献」
    ▽日本人研究者「iPS臨床応用」、米大学が関与否定―肩書も詐称
15日▽カンボジアのシアヌーク前国王(89)死去―滞在先の北京で
    ▽ノーベル経済学賞、米の2氏に―最適な組み合わせ理論を考案
    ▽ソフトバンク、米携帯会社スプリント買収で合意―1兆5709億円
16日▽米兵2人、集団強姦致傷容疑で逮捕―帰宅途中の女性襲う=沖縄
    ▽出産直後のゾウに襲われ飼育員死亡―静岡・富士サファリパーク
    ▽南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)1年延長を決定―政府
    ▽NHK紅白歌合戦、司会に嵐と堀北真希さん決まる
17日▽一票の格差、前回参院選は「違憲状態」―最高裁大法廷
    ▽絶滅危惧の動植物、世界で2万219種に―国際自然保護連合
    ▽1〜2週間先の大雪予想、今冬から導入―気象庁
18日▽PC遠隔操作事件で誤認逮捕認める―警察庁長官
    ▽中国の7〜9月期の成長率7.4%―年8%割れの可能性も
    ▽東京高等検察庁、「マイナリさん無罪」の意見書―東電社員殺害事件
    ▽田中慶秋法相に進退論浮上―外国人献金や暴力団関係者との交際

 

 
 
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