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国際
中国各地を荒らし回った「投機集団」も姿無く 輝きを失った“温州モデル”
2012.10.31 08:51
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しかも温州の民間金融は、中国各地に出向いて不動産開発を中心に投機活動を展開、「温州炒房団」と呼ばれていた。その資金規模は少なくとも6000億~8000億元と推計されていた。
ところが企業の経営悪化によって、地元の民間金融は巨額の損失を受けた。損失規模は300億~400億元に上ると言われている。各地を荒らし回っていた「温州炒房団」も、すっかり姿を見せなくなってしまった。香港でもこの半年くらい、温州からの資金流入は途絶えているという。
危機感を抱いた中央政府は、温家宝首相が現地入りし、これまで中小の民間企業にはあまり融資してこなかった銀行に対して、融資促進を指示した。また、温州を「金融総合改革試験区」に指定し、新たな金融機構づくりに着手した。
しかしそう簡単には効果は出てこない。それどころか民間金融だけでなく、銀行も中小企業向けに融資を増やしたがために、多くの不良債権を抱えるようになってしまった。今年上期の温州市の域内総生産(GDP)は前年同期比5.0%の伸びにとどまっており、苦境からの脱出にはなお、時間がかかりそうだ。(拓殖大学国際学部教授・藤村幸義)
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