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政治
【from Editor】地方にも波及する大衆迎合
2012.10.31 07:40
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ちなみに静岡県では県民投票の実施コストを約10億円と見積もっている。仮に投票を実施するなら、増税でもしない限り、そのコスト分は社会保障関係など他の予算を削らざるを得ないのではないか。物事の是非を判断する場合にはメリット、デメリットを比較考慮する必要がある。知事がそのことを県民に示すことなく賛意を表明したのは軽率といわざるを得ない。「来年7月の知事選を見据えたパフォーマンス」との見方もあながち否定はできないだろう。また、条例案を否決したとはいえ、終始本質論を避けて「法制度上の不備」などを理由にした県議会も褒められたものではない。
とはいえ、原発に対する国の方針が定まらないなかでは、知事らがいくら「国レベルの問題だ」と県民に説明しても説得力が乏しいのも事実だ。特に政権が脱原発に傾く世論におもねるなかでは、中央の大衆迎合政治が地方にも波及しているとみるべきだろう。
今必要なのは、政府が早急に「エネルギー資源の乏しい日本には少なくとも当面原発は必要だ」と国民に説明することではないか。そうでなければ地方政治は、ますます「脱原発」の姿勢を先鋭化させざるを得なくなる。
新潟県の泉田知事が再稼働の是非について一貫して「国の検証が先決だ」と語るのは、「国が早く方針を示すべきだ」というメッセージだと解すべきだろう。(地方部次長 福島徳)
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