- [PR]
国際
【湯浅博の世界読解】米国が復活してきた
2012.7.25 15:26
(2/3ページ)
あれは1980年代の終わり。米エール大学のポール・ケネディ教授は大著『大国の興亡』の表紙に、主役たちの交代を印象付ける風刺画を使った。英国紳士とアンクルサムが地球のてっぺんからずり落ち、代わりに、日の丸を担いだ日本人ビジネスマンが足を引っ掛けてきた。
ところが、その日本もバブル崩壊で日章旗を巻いて退き、IT革命でいったんは復活した米国も、2007年の住宅バブル崩壊で失速した。この大不況を米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン前議長が、「100年に1度の大津波」と表現した。大エコノミストの発言は即時、世界に広がった。
大エコノミストの悲観論で、小エコノミストの群れも右へならえだ。彼らが「景気悪化」の大合唱をすれば、世界中がなえるのは避けられない。まして、米国の衰退は中露など良からぬ国の台頭を意味するから、なお厄介だ。
ケネディ教授が続編を書くなら、五星紅旗を持った中国人が、英米日を蹴散らし、地球をわしづかみにする構図だと考えられた。彼らは13億人の巨大市場をもって、世界の資金を引き込んだ。すでに「米国の支配は終わった」とみて、国際貿易のルールを中国流に塗り替えようとした。
関連ニュース
- [PR]
- [PR]