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国際
【湯浅博の世界読解】民主主義が「戦略の核心」
2012.8.8 15:14
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対アジア政策で米国の戦略指針を示してきたクリントン国務長官が、ついに民主主義が「戦略の核心」であると踏み込んだ。長官は7月9日にウランバートルを訪問し、これまでの海洋アジアに関する「航行の自由」原則の確保から、さらなる戦略目標を掲げた。
この発言が、米国の「アジア回帰」に続く重要な対中戦略になることを記憶にとどめておきたい。それはブッシュ前政権と同じ民主主義の拡大理念に通じる可能性があるからだ。
米国が「アジア回帰」を明言したのは、クリントン長官による2010年1月のホノルル演説が最初だった。長官は明確に「米国はアジアに戻る。そしてとどまる」と宣言した。この時はまだ、東南アジア諸国には疑心暗鬼があった。オバマ政権が発足以来、経済重視の姿勢から中国との融和策をとっていたからだ。
しかし、同年7月、ハノイの東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連外相会議でこのアジア重視の姿勢をより鮮明に打ち出した。伝統的な「航行の自由」原則を米国の国益と強調し、領有権問題の多国間での取り組みに意欲を見せたのだ。
そして11年秋、オバマ大統領がオーストラリア議会で「アジア太平洋の未来をつくるのは米国である」とのアジア回帰演説につながっていく。今回のウランバートル演説は、オバマ政権のアジア回帰が「航行の自由」原則だけでなく、アジアの民主化にも関与する姿勢を示した。
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