2011年05月16日(月) 00時00分00秒

キセキのカタマリ・6

テーマ:妊娠・出産
このシリーズはひなちさん出産のハナシです。
生々しい話が駄目な方は飛ばすことをお勧めしております。
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処置をするからと旦那も一旦追い出される。

その時、ちょっと振り返り際に、縫う前の傷口を見てしまったらしい( ; ゚ω゚)

私ですら一生見ないものを……。見たいような見たくないような。


5分後くらいに先生が戻ってきて「赤ちゃんちょっと保育器に入るからね」と言い
お腹を強くギュギュッと押してきた。そしたらズルンという感触とパシャンという水音。
胎盤を出したらしい…。なんかもう色々出しっぱなしだ。
圧縮袋みたいに色々詰まってたんだなあ。

「縫うよー」とこれまた麻酔なしで縫われ始める。

痛ぇぇぇぇぇ!!!ちくちくというよりぢくぢくする!

冷静になった分余計痛い!!!
ホッチキスみたいなもので止める「バッチン」という音がたくさん鳴った。
「切ったところ以外にだいぶ裂けてるからね」とか言いながらバッチンバッチン。
針で内膜を刺されてるような感覚。っていうかそのものなんですが
ドコ縫われてるのかよく分からないけどとにかく痛かった。
「痛いっ!」と思わず声をあげてしまう。「はい我慢してねー」。・゚・(ノω`)・゚・。

出産終わってもまだ痛いことがあるとか、もうイジメすぎ。
そして処置終わるとさっさと先生は退室。

ぽつんと一人、LDRに取り残された。

静かな部屋。
隣でバタバタしてる音がする。


足置きに足を置いたまま、股開いたまま、放置される。
隣の部屋で赤ちゃんの処置に必死になってくれているんだから、仕方ない。
足が辛いけど。

まだ自分がぜえぜえ言ってることに気づいて、外れていた酸素カニューレをつけて深呼吸。

お腹を触ってみて、へこんでいることを確かめて。本当に出ちゃったんだなあ。

しかし、そのお腹を触った手がヌルッとしたことに気づく。

ひなちさんち。~旦那はフリーダム
血がお腹にべっとりついていた。
そしてよくよくあちこち見てみると、髪や顔面、腕にまで血しぶきがかかってた。

最後の10分間、身体飛び跳ねるほど激しかったせいだろうか。
なんかスプラッタもいいところだ。

テレビとかで見る出産ドキュメンタリーの人たちは皆、出産後は汗と涙でキラキラしてたのに。
まさか私は血まみれだとか。

しかも結局泣かなかったし。涙すら出す気力なかっただけかもしれないが。
なんかそんな自分にちょっと凹んだり。

顔面の乾いた血をコスコス剥がしてみたりしながら待つこと一時間くらい
「ごめんね待たせて!」と看護師さんが入ってきた。
どうにもまだまだ忙しいらしい。
「忙しいところすみません…あの、足ちょっと辛いんで下ろしたいです…」
「あっ、ごめんね!」と分娩台を再びベッドにもどしてくれた。
足がじんじんするぜー。
そして「もうちょっと待っててね!」とバタバタ出て行く。

暫くぼんやりして、やっと旦那の存在を思い出す
暇なので呼んで欲しいなー。話したいけどまだこれじゃあなあ。


上を見上げると
ひなちさんち。~旦那はフリーダム
最後までスー、ハーのままだった。
役に立ってねぇ!
そういえば、結局、よく言うヒッヒッフーっていう感じじゃなかったなあ。
ヒッヒッフーって結局どんなんだろ?

そして。

やっと。

看護師さんが保育器に入る寸前の赤ちゃんを連れてきてくれた。
「抱っこはできないですけど」って。
もう泣き止んでいて、よく顔は見て取れないけれど、浅く呼吸をしていた。
なんだかとても小さく見えて(気のせいではなかったのだけれど)

「触っていいですか」と聞くと「もちろん」と差し出される。
どこを触ろうか迷った挙句、一瞬その手に触れると、弱い力で人差し指を握られた。

ひなちさんち。~旦那はフリーダム

はじめての接触は、手だった。
小さい。すっげー小さい。人差し指の第一関節をやっと握れるくらいの手のひら。

私の手はさっきまで血をコスってた為に結構汚れていて、申し訳なく思った。

「何グラムでしたか…?」
「2418グラムでしたよ」

一週間前の予測では2700グラムだった。ずいぶん小さくてびっくりした。

そして連れて行かれる。
小さいのに手に力を入れて抜かないとならない握力だった。
何だか実感がわかない。

またしばらく股開いたまま放置され、やっと身体を拭かれる。
とはいえ完全に血は落ちなくて、お風呂入りたいなぁとぼんやり思う。

テキパキと用意されていた産後ショーツを履かされ、産後ナプキンをつけられる。
産後ナプキンLサイズ、やっぱりちょっとしたオムツ
痛み止めだという座薬を入れられ、軽く食事とってから飲んでねと薬を渡される。


そこで空気読まないひなちさん「あの…トイレ行っていいですか…」

まだ出るか。

しかし意外にも「あ、うん、どうせ行ってもらわないと行けないから」とのお言葉。
何のために尿を強制されるのか分からないが、色々外してもらいトイレに行く。
久々に立ち上がると、足はフラフラ、下半身には違和感。

点滴は見事に逆血していた。
そんなのもう途中からすっかり失念していたけど、やはり見ると気持ち悪い。

トイレに行って座るも、傷口が痛くて気になってきばれず上手く出なくて10分くらい苦しんで出した。
最終的には自分で膀胱あたりを押して無理やり出した
拭くともちろん大量の血がつく。消毒しなくてもいいのかなあ…とかぼんやり思った。

「頑張ったね~!いいこと教えてあげる!」と看護師さん。
「いいこと?」
「この数日間に生まれたのアナタのとこだけなのよ~
今入院してるの切迫の人除けばアナタとアナタの赤ちゃんだけ!」
ほうほう。
でも別にそれでヒャッホウとは思わないんですけれど…あ、看護師さん独り占めってことですか!

それからやっと旦那が入ってきた。荷物を持って入院の部屋に行くらしい。

何だったろう。ナニを話しただろう。やっと会話をした感じ。

「頑張ったなあ、ありがとう」とか言ってたけど、こちらこそ放置して無視してウザがってゴメン。

旦那も頑張った。

よくは覚えてないけど、口に色々入れてくれたり、息が上がるほど腰をさすってくれていた気がする。
部屋に行くように言われて、やっと"入院"したのが午前五時ごろだったか。
軽食をもらい、食べてから薬を飲み。
二人で色々ポツポツと話をして、興奮してなかなか眠れなかった。

産んだという実感はまだ無くて。

だって傍に赤ちゃんはいなくて、ただお腹がへこんだというだけで。
しばらく呼吸が「すー、はー」のクセが抜けなかった。

旦那は部屋のソファに横になり、すぐに寝息を立て始めたが、私はなかなか眠れなかった。
というのも、やっぱり縫われた痕が傷む。
仰向けになるのもちょっと辛い。かといってうつ伏せも怖い。
ごろんごろんしながらうとうとしたり。24時間以上寝てなくても寝れないなんて。

その間にもトイレにいったが、出すのに30分くらい苦しんだ。膀胱押してもなかなかだ。
血だけはドバドバこれでもかというくらい出る。


1時間弱はうとうとしたのか、朝、看護師さんによって起こされる。
「先生の診察がありますので」
…朝っぱらから…。

診察台にあがって股を開くもそれだけで痛い。
そこに「消毒するからねー」と中になんか突っ込まれて目を剥いた。

痛いいたい!もう勘弁してくださいよ(ノω=;)
「赤ちゃん元気だけどね、今日一日保育器入るから、お母さん今日一日ゆっくりして」
「え、母乳とかは」
「明日からになるよ」
そっか('・ω・`)

「お風呂は明日の診察後からね」
汗だくで血浴びて丸2日入らないことになるとか('・ω・`)耐え難い…


まだ抱っこも出来ない我ら。
朝から親族友人に報告しまくり。
おめでとうと言われて、何かやっと「やったんだなあ」と実感が沸いてきた。

病院食とは思えぬほどの豪華なご飯をいただく。

妊娠中ずっとあった胃の不快感がスッキリしていた
「おいしい」と心のソコから思ったのはいつ以来か。


しかし身体中が痛い。痛すぎる。
まず普通に座れない。円座クッションでも辛い。
せっかくの美味しいご飯を立って食べる体たらく。
傷口痛くてトイレ辛い。

先生の手によるバッチン以外にも色々裂けてて、かなり広範囲に縫われたらしかった。
腕、足の筋肉痛、腰痛、まぁ身体中がこれまでの人生で一番酷使されてた。
剣道やってた時の一番辛い練習の後でもこんなにはならなかった。
痛み止めと化膿止めの薬をキチンと飲むけど、大して変わらない。
旦那も数時間しか寝ていない+汗だくになったらしいのでシャワーと仮眠に一旦帰宅した。

「何か食べたいものある?来るとき買ってくるけど」
少し考えて、何となくさっぱりしたかったので
「アイスがいい」
ひなちさんち。~旦那はフリーダム
軽くトラウマ。

旦那と二人で度々保育器を眺めに行く。

他の赤ちゃんは看護師さんも言ってたように誰もいない。

生まれてすぐ看護師さんハーレムとは、良かったね…。

ガラス越しのさらに容器の中の赤ちゃん。目を閉じて寝ていた。
腕の点滴が痛々しい。頭は包帯みたいなものでぐるぐるに巻かれている。

ひなちさんち。~旦那はフリーダム

「かわいいなあ、もう親バカでいいや」と旦那は繰り返す。
「ここにいる赤ちゃん、いつも可愛いと思ってたけど、やっぱり自分の子はまた違う」とも。
私はその時はまだ抱けていない我が子に戸惑ってた。

産んだのは間違いなく私なのに、それが近くにいないからか、手が空をきるような感覚。
困ったなー。母性とかあるのかなー。なんて。

でも、後で一人になった時に見に行ってて、はじめて両目を開けてこちらを見てきた時。
保育器+ガラス越しだし、まだ近距離しか見えてないはずだからこちらのことは見えないだろう。
それでもその目を見たとき、はじめてそこで涙が出た。

どんなに痛くても辛くても、産んだ直後恐慌だった時も出なかったものが、
こんな些細なことで出るのかと自分でもびっくりした。
しかもなかなか涙が止まらなかった。

喜怒哀楽のどれでもない不思議な感情だった。

生きてるなあ。

頭長くなっちゃってるけど、生きてる。
泣いて息して目をあけてる。
なんて澄んだ目なんだろう。

それだけの事が本当にキセキみたいだった。


夜、旦那も帰って、一人になって、日記を書いた。
ブログにするためでもなんでもなく、ただの記録。

痛みと続く興奮で寝れず、座薬を入れてもらうが、それでもなかなか寝付くことは出来なかった。
汗と血で汚れた身体が気持ち悪い…。



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ひなちさんち。~旦那はフリーダム

延々とだらだらとそれでも簡略化して書いてます。
全部細かに書いたら、ましてや絵で描いたら一冊本が出来てしまう量だし(;´Д`)

世の中のお母さんみんなスゴい!ホント凄いですよね。

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