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児相保護男児死亡訴訟:「命預かる機関、なぜ」 虐待誤信、怠られた調査/横浜

2012年10月29日

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「周囲を喜ばせたり、驚かせたりするのが大好きな子だった」と振り返る母。アルバムにはさまざまな表情を見せる息子が納まる

「周囲を喜ばせたり、驚かせたりするのが大好きな子だった」と振り返る母。アルバムにはさまざまな表情を見せる息子が納まる

 横浜市の児童相談所の一時保護所で2006年、男児=当時(3)=が死亡した事故で、男児が入通院していた国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が虐待と虚偽の通告をし、児相も十分な調査をせずに保護し、男児を死亡させたとして、両親が国と横浜市に対して約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、横浜地裁で言い渡される。

  ◇ ◇ ◇

 やっと再会できた息子は息をしていなかった。2006年7月27日。3歳9カ月だった。

 「お母さんのところにいると死んじゃうかもしれないから」。死の約1カ月前、児童相談所の職員は、そう言って息子を引き離した。虐待の疑いが強くある、との理由だった。

 男児は、生後7カ月から国立成育医療研究センターに入通院。皮膚炎が悪化し、タンパク質が流出、成長に影響していた。強い食物アレルギーもあり、卵や小麦などを含む食物に触れただけで皮膚が荒れてしまうこともあった。食材を制限せざるを得ない中で、家族は栄養指導を受け、息子の成長を願っていた。

 なぜ、虐待という判断に至ったのか。原告側は、決定をしたとされる院内の「虐待防止対策チーム」の議事録の証拠提出を求めた。だが、センターは記録を取っていないとして、提出しなかった。

 児相は、主治医への聞き取りや男児のカルテの確認など、基本的な調査を怠っていた。センターでの栄養指導や、男児の日々の食事内容も把握していなかったという。男児に与えられたちくわは、最も強いアレルギー反応を示す卵が含まれていた。

 原告弁護団の姜文江弁護士は「基本的な情報が共有できておらず、必要な調査もしていない。専門機関として対応がずさんで、無責任」と憤る。

 息子は、生きていれば10歳。母は言う。「病院も児相も子どもが大切にされないといけない場所なのに、なぜこんなことをしてしまったのか。命を預かっていることを考えてほしい」

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