愛知県スポーツ功労賞の表彰式後、吉田沙保里(右)からタックルを受ける名古屋グランパスの永井=愛知県庁で
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名古屋グランパスのロンドン五輪代表FW永井謙佑(23)が29日、国民栄誉賞を受賞したレスリング女子の吉田沙保里(30)=ALSOK=から、世界で結果を出すためのメンタリティーを学んだ。サッカー選手としてはシドニー五輪で6位入賞した00年のグランパスGK楢崎以来2人目となる愛知県スポーツ功労賞を受賞し、愛知県庁で行われた表彰式に出席。同スポーツ栄誉大賞を受賞した吉田と初対面し、「自分を常に出している」と感嘆した。
栄誉ある表彰式で、永井の好奇心と向上心に火が付いた。「何が違うんですかねえ。やっぱり体幹ですかね」と吉田の強さの秘密に興味津々だった永井。ただ、黒いスーツに包まれた意外に小柄な体格以上に永井をひきつけたのは、国民栄誉賞アスリートの類いまれなキャラクターだった。
「めっちゃ元気ですね。ずーっとしゃべってました。自分を常に出していて、オーラがプンプンしてますね」
吉田は五輪3連覇、世界選手権と合わせ前人未到の13連覇を達成したスーパーヒロイン。それでも初対面の永井にも気さくに話し掛けてきた。永井や体操の寺本らが赤いジャケットの五輪選手団公式服装を着ているのを見て、「私だけ格好間違っちゃった」と照れ笑い。さらに「吉田麻也選手って愛知県出身なの?」と、式は欠席したが特別表彰を受けた同じ吉田姓の日本代表DFについて質問するなど、話題には事欠かなかった。
そんな吉田の姿に、永井は感嘆した。今年は数々の表彰や表敬訪問を行ってきた永井も、やはり普段とは違う場所では硬くなることが多かった。ただ、どんな場でもどんな相手でも、力まず、萎縮せず、自分を主張することは、アスリートにとって重要な資質。「僕はここでは出さなくてもいいけど、ピッチの上では大事なこと」と、吉田の姿にあらためて自然体の重要性を感じた。
「次の舞台であるW杯で結果を残せるように、ここからもうひとつ成長していきたい」と受賞の喜びを語った永井。そのヒントが、女王のたたずまいには詰まっていた。 (宮崎厚志)
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