イスラエル:クラスター爆弾使用削減を軍高官が明言
毎日新聞 2012年10月30日 12時10分
【エルサレム花岡洋二】06年のレバノン侵攻で大量のクラスター爆弾を使い、市民にもたらした被害が国際的な非難を浴びたイスラエル軍が、今後の同様の作戦では使用量を大幅に減らす方針であることが分かった。軍高官が29日、AP通信などに明かした。イスラエルはクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)に未署名だが、使用を難しくする国際環境が整いつつあることを示した形だ。
AP通信によると、イスラエル軍は06年、イスラム教シーア派組織ヒズボラとの紛争で、レバノン南部に約400万発の子爆弾を落とした。うち約25%が不発弾で、後に爆発して市民数百人が死傷したとされる。イラク、コソボとともにレバノンでの被害がきっかけとなり、オスロ条約が08年に締結された。
市民団体「クラスター爆弾連合」によると、イスラエルは、クラスター爆弾の製造・輸出国。73年のシリアや82年のレバノンなどで民兵の掃討などに使ってきた。オスロ条約締結に反対したが、国際的な批判にさらされ、軍がより慎重な使用手順を検討してきた。
軍高官は、レバノン南部に侵攻する事態となった場合は、クラスター爆弾の使用を「大幅に減らす」と明言。ヒズボラの民兵が住民の中に潜んでおり「空からの爆弾攻撃は有効でない」ためと説明した。早期の地上侵攻と、情報活動に基づくピンポイント爆撃に力点をおくといい、既に計画が準備されていることを示唆した。