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マルテンサイトはなぜ硬いのですか。 |
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図1に示すように,焼入れた炭素鋼のマルテンサイトは非常に硬く,その硬さは炭素量に大きく依存する1)。マルテンサイト変態によって生成した変態生成物はマルテンサイトと呼ばれ,またマルテンサイトの1つ1つの結晶をマルテンサイト晶と呼ぶ。マルテンサイト変態とはせん断変形によって結晶構造が変化する無拡散変態で,このため1つのマルテンサイト晶の大きさは母相結晶粒よりも小さい。したがって,マルテンサイト変態が起これば必ず結晶粒微細化強化がもたらされ,硬さが上昇する。また,マルテンサイト晶内には,一般に転位など多くの格子欠陥が導入される。よって転位強化が生じ,さらに合金の場合には,母相が固溶体であればマルテンサイトも固溶体であり,固溶強化が働く。さらに実用鋼の場合には,拡散速度の大きい侵入型固溶元素である炭素を含むとともに,マルテンサイト変態開始温度(MS)が室温以上と高いため,マルテンサイト変態後の室温までの冷却中に炭素の再配列,極端な場合は炭化物の析出などが起こる(この現象をオートテンパーと呼ぶ)結果,強化因子として析出強化も働く。 以上述べたように,炭素鋼マルテンサイトは,@固溶強化,A転位強化,B細粒強化,さらにC析出強化の4つの強化素機構をすべて含んでおり,これが強く硬い理由である2,3)。図2は,Pickeringの提案したマルテンサイトの強化因子のまとめを示したものである4)。 |
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参考文献 1)G.Krauss:“Martensitic Transformation,Structure and Properties in Hardnable Steels”AIME,Warrendale,PA,p.229,(1978) 2)牧正志:鋼の強靱性はどこまで高められるか,第29,30回白石記念講座,(社)日本鉄鋼協会,p.63,(1995) 3)(社)日本鉄鋼協会編:鉄鋼の高強度化の最前線,p.77,(1995) 4)F.B.Pickering:“The Optimisation of Microstructures in Steels and Their Relations to Mechanical Properties”AIME,Warrendale,PA,p.179,(1978) |
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〈小嶋 敏文〉 |
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