【ロンドン=松崎雄典】欧州メディア大手の独ベルテルスマンと英ピアソンは29日、傘下の出版大手、米ランダムハウスと英ペンギン・ブックスを2013年後半に合併させることで合意したと発表した。コンテンツを増やし、電子書籍市場の流通を支配する米アマゾン・ドット・コムなどに対する交渉力を高める。資金力をテコに、電子書籍市場で稼ぐ新たなビジネスモデルも探る。
合併会社の株式はベルテルスマンが53%、ピアソンが47%保有し、取締役会にはそれぞれ5人、4人を送り込む。最高経営責任者(CEO)は、ランダムハウスのマルカス・ドーレ会長兼CEOが務める。合併後もそれぞれが独立した編集体制を維持する。
ランダムハウスとペンギン・ブックスは「ビッグ6」と呼ばれる欧米大手出版社の一角を占め、11年の売上高はそれぞれ17億ユーロ(約1700億円)と10億ポンド(約1300億円)。ビッグ6中での初の再編となり、売上高で他社を大きく上回る最大手になる。
書籍市場では電子書籍が急成長する一方、紙の書籍の販売は減少が加速している。調査会社ニールセンによると、11年の英米市場では、紙の書籍販売部数が前年比9%減少した。インターネット小売り最大手のアマゾン・ドット・コムでは、書籍の販売部数は既に電子が紙を上回る。
ランダムハウスとペンギン・ブックスは、電子書籍市場ではアマゾンや米アップル、米グーグルなどに流通を握られ、紙に比べ利幅が小さい。コンテンツを増やし交渉力を高める狙いがある。
ただ、例えば英国では両社が合併してもシェアは25%ほどで、アマゾンなどには及ばない。ピアソンのマージョリー・スカルディーノCEOは声明で「電子書籍や電子書籍リーダーの世界で、新しい事業モデルに大胆に挑戦できる」と対抗手段を探すことを宣言した。
英紙サンデー・タイムズなど欧米メディアによると、米出版大手のハーパーコリンズを抱える米メディア大手ニューズ・コーポレーションもペンギン・ブックスの現金での買収に意欲を示していた。今後、ピアソンの取締役会に、より魅力的な金額を提案し、対抗的な買収に乗り出す可能性もある。出版業界の再編が加速し始めている。
ランダムハウス、マルカス・ドーレ、CEO、ベルテルスマン、ピアソン、アマゾン・ドット・コム、グーグル、ニューズ・コーポレーション
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