東日本大震災:いわき市、津波損壊家屋1700棟の基礎撤去へ 工費は全額国費で−−年度内 /福島
毎日新聞 2012年10月30日 地方版
いわき市は29日、震災の津波で損壊した家屋基礎部分の解体撤去を今年中に始めると発表した。対象は、区画整理事業などにかからない「白地地区」となった同市四倉町、小名浜などの全半壊した約1700棟。工費約7億4000万円は全額国費(災害廃棄物処理事業)で賄う。
津波被害を受けて隣地との境界が明確でなかったことなどから、手つかずのままだった。11月から所有者の意向調査を行い、今年度内に工事を終える。
沿岸部の久之浜、薄磯、豊間など区画整理事業5地区と、末続など防災集団移転事業3地区は、各事業で解体撤去する。不公平感をなくすため、内陸部の住宅基礎部分の解体撤去も公費で賄い、自費で解体撤去した市民には費用を払い戻す。
◇観光業の税優遇、初の特区を申請
また、市は復興庁に「サンシャイン観光推進特区(市復興推進計画)」を申請したことを明らかにした。同市では、東日本大震災関連の特区申請は初。
市は原発事故の風評被害で、年間1000万人超の観光客が約7割に低迷した。市街地や沿岸部に観光関連産業集積を図り、雇用創出など地域経済活性化を目指す。
申請は24日付。認可されれば、宿泊、飲食サービス、小売、生活関連サービスなど8業種で、法人・所得税が控除、事業・不動産取得税が免除される。【中尾卓英】