原子力規制委員会が24日に公表した全国16カ所の原発で重大事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測について、規制委は29日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)など6カ所で、データの入力ミスなどが原因で放射性物質の拡散する方角や距離が誤っていたと発表した。修正した予測図を改めて公表した。
誤りがあったのは、柏崎刈羽、日本原子力発電東海第二(茨城県)、北陸電力志賀(石川県)、日本原電敦賀(福井県)、九州電力玄海(佐賀県)、九電川内(鹿児島県)の6原発。
拡散予測は、福島第一原発事故と同規模の事故が全国の原発で起きたと仮定し、放射性物質の広がりを調べた。原発からどこまで国際原子力機関の避難基準「1週間で100ミリシーベルト」被曝(ひばく)するかを16方位でみた。
誤りは16方位のうち1方位分(22.5度)のずれ。反時計回りに修正したのは、柏崎刈羽、志賀、玄海、川内の4原発。時計回りに修正したのは、東海第二、敦賀の2原発だった。
玄海、川内の2原発では、さらに避難基準に達する最大距離が最大300メートル伸び縮みした。柏崎刈羽原発では、最大距離がこれまで東南東に40.2キロの新潟県魚沼市内だったのが、東に同じ距離の同県長岡市内に訂正された。
同日夜に会見した規制委事務局、森本英香・原子力規制庁次長は「大変ご迷惑をおかけし、おわび申し上げる」と謝罪した。
原子力災害対策指針の改定で、原子力災害の防災重点区域を原発30キロ圏内に拡大する。予測図は、道府県が重点区域の範囲を決める際の資料として示された。