2012.06.19

80〜90年代に先端を走っていた「大長編ドラえもん」のOPで振り返るCGアニメの進化

名称未設定


先日、ustで放送された「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」をみんなで見ようという企画を聞いて、ちょっとドラえもんの大長編を見なおさなければならないと思い立ち、まず「ミニドラSOS」と同時公開された「日本誕生」を見直しました。この映画、OPの背景がCGなんですね。1989年の作品で背景をCGにしているなんて進んでるなぁと思って、ざっと他の「大長編ドラえもん」のOPもチェックしてみたのですが、「大長編ドラえもん」OPの歴史は面白いですよ。これはCGアニメの歴史と言っても過言ではない。ちょっと、まとめてみたい思います。


そもそも「大長編ドラえもん」にCGが登場したのは1984年公開「魔界大冒険」からで、このエントリーの最初にある画像が「魔界大冒険」の本編でCGが使用されたカットです。どうも「大長編ドラえもん」は、CGを使用したアニメ作品としては、かなり早い方だったみたいです。


ちなみに、「魔界大冒険」のOPはCGではないのですが「大長編ドラえもん」の中では、かなり異質のOPになっているので注目です。やたらキラキラしてるのとドラえもんがボヤけてます。でも箒はクッキリ。これ謎OPですよね。
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「魔界大冒険」の謎OPの話は置いておいて、CGの話です。
翌年、1985年公開の「宇宙小戦争」のOPでは手書きの背景と一緒に少しだけCGの背景が採用されます。タイトルが出る前のカットと中盤のカットで少しCGが使われていますね。まだまだ単調なCGですがタイトルバックの直前にも使われていて目立っています。CGはこの作品の雰囲気にもあっていたので、違和感はありませんでした。
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1886年公開「鉄人兵団」ではOPの一番最後で少しだけCGが使用されます。キャラがいない背景のみのカットです。前作に比べるとCGが使われているカットは、かなり減っています。WMPで音楽を再生させた時みたいなCGだ。
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1987年公開「竜の騎士」では、ついにOPの背景が全編とおしてCGになります。網目状に凹凸を作ったCGが描かれていますね。
これかな
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●コンピューターグラフィック:亀谷久、斉藤直忠



1988年公開「パラレル西遊記」でもOP全編がCGです。今度は網目が赤に変わってます。それと手書きで周りに枠が付けられてるんですね。なんでこんなの付けたのかなぁと思ったのですが、西遊記っぽさを出すのと、これ・・・もしや前年と同じCGの使い回しじゃ・・?そんなことないですよね。
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西遊記1
●コンピューターグラフィックス:亀谷久




1989年公開「日本誕生」。ここでOPのCGが劇的に進化します。これまでのような幾何学模様のCGじゃなく、立体物をCGで表現した背景に変わりました。
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●コンピューターグラフィックス:亀谷久 渡辺三千成 水端聡




1990年「アニマルプラネット」。ここ数年OPの背景が全編CGだけで制作されていましたが、この年は手書きの背景とCGの併用に戻りました。CGと手描きの配分をどうするのが良いか試行錯誤していたのでしょうか。
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1991年「ドラビアンナイト」。ここで革命的な変化があります。背景だけでなくキャラを描くのにもCGが採用されて、これまで手描きだったドラえもんがCGに変わります。1991年で、このレベルの向上。
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最後だけ手描きの背景ですが、ドラえもんはCG。
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1992年「雲の王国」では、ドラえもんだけじゃなくゲストキャラもCGになって登場です。
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●コンピューターグラフィック:亀谷久、八木昭宏、末弘孝史、水端聡



1993年「ブリキの迷宮」。ドラえもんがタイトルバックの前まではCGで描かれていますが、タイトルバック後は手描きになります。この後、数年はこのパターンが続きます。
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1994年「夢幻三剣士」。前作同様に、ドラえもんはタイトルバック前がCGで、後が手描き。背景は全編CG。そして、ここでまさかの初期CG背景のオマージュが登場。あの網目状の背景が描かれています。
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1995年「創世日記」。この年もドラえもんがタイトルバック前がCGで、後は手描き。
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1996年「銀河超特急」。この年もドラえもんがタイトルバック前がCGで、後は手描き。これまでOPに登場するキャラは基本的にはドラえもんだけだったんですが、手描きパートで他のキャラもたくさん出てきました。
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●コンピューターグラフィック:水端聡、八木昭宏、石記勤



1997年「ねじ巻き都市冒険記」。ドラえもんがOP全編、CGで描かれるように戻りました。CGを使って描けるキャラの数も増えましたね。
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ということで、ここまでで「大長編ドラえもん」のCGを使ったOPブームが一旦終わります。藤子先生が亡くなったことにより翌年の1998年公開「南海大冒険」からは、制作体制も少し変更され、それに伴いOPもすべて手描きの制作に戻ることになっていくのでした。

「大長編ドラえもん」は、80年代半ばからCGを使っていたので、アニメのCGでは当時、先端をいっていたのではないでしょうか。シンエイ動画は手描きの上手いアニメーターさんが多いので、こんなに早くCGを活用しているイメージはありませんでした。やはり「ドラえもん」が未来のロボットなので、未来感を出す為の演出としてCGと相性が良かったのかもしれません。


(関連)
大長編ドラえもん私的考察~F先生の描いたもの~(前編) - In Jazz

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コメント

ふ~んあっそだからそれが??

【2012/06/20 19:27】 URL |   #-

OPは早送りしちゃってましたね
今思えばCGの進化を感じます

【2012/06/21 20:48】 URL | #-

今度みる機会があったら、ぜひOPもチェックしてみてください。毎回、凝ってますので。

【2012/06/22 11:34】 URL | 西尾西男 #-

なかなか面白い記事でした
後編楽しみにしています

【2012/06/24 00:46】 URL | #-

後編ですか^^;
98年以降をもう一度チェックしてみて書けそうだったら書いてみます。98年から数年は手描きのOPなんですよね・・・。

【2012/06/24 10:27】 URL | 西尾西男 #-

日本アニメで最初に3DCGが使われたのが大長編ドラえもんらしいですね。
ちなみにコンピュータ加工された映像(3Dではない)が初めて使われたのはタイムボカンのワープシーンらしいです。

【2012/06/24 12:03】 URL |   #-

なんか同時期にゴルゴ13などでも使ってたみたいですが、やはり、ドラえもんほど目立ってなかったようですね。

http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20030413141408

【2012/06/25 08:19】 URL | 西尾西男 #-

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