震災で地盤沈下 工事の土で地盤かさ上げ10月29日 14時22分
震災で地盤が沈下した宮城県気仙沼市の水産加工場が建設される予定の漁港地区をかさ上げするために、道路工事で出た余分な土を活用することになり、29日朝から現場に運び込まれました。
気仙沼市の気仙沼漁港は海抜がほぼ0メートルでしたが、震災でおよそ1メートル地盤が沈下したため雨が降ったり大潮の時期になったりすると冠水しています。
このため、市はこの地区一帯をかさ上げする計画で、29日、水産加工場などの建設が予定されている地区に、国が建設を進めている三陸沿岸道路の工事で余った土が運び込まれました。
国土交通省東北地方整備局によりますと、かさ上げに活用される土は山を切り開いたことで出たもので、およそ6万立方メートルに上るということです。
東北地方整備局の長谷川優人建設監督官は「市は土が足りず、道路工事は土が余り、利害が一致した。有効活用することで復興事業に協力したい」と話しています。
復興事業で深刻な“土不足”
復興に向けて地盤のかさ上げなどには大量の土が必要になります。
宮城県では、復旧・復興事業を行う自治体がそれぞれ民間から購入して土を確保することを基本としています。
しかし、宮城県の試算では、県内ではおよそ4000万立方メートルの土が必要になるのに対し、民間から購入して確保できる量は700万立方メートルにとどまり3000万立方メートル以上の土が不足する深刻な状況です。
この状況が続けば、復旧・復興の進ちょくに影響しかねないことから、先月、宮城県と沿岸の市と町は連絡会議を設置し、自治体が使うための土の採取場を新たに設けることを確認しました。
現在、候補地の選定を進めていて、来年度から土の採取を始めたいとしています。
一方、県内では、土砂や木片が混じった不燃がれきのうち、およそ39万トンについて処理の見通しが立っていませんが、県は、選別したうえで、かさ上げなどに再利用する取り組みを進めています。
さらに、住宅の高台移転に伴って山を切り開く工事が多く、今後、土の供給が過剰になるとみられる岩手県に対して、宮城県は土を融通してほしいと打診しています。
宮城県は、こうした取り組みを重ねることで、一刻も早く必要な土を確保し、復旧・復興に支障をきたす事態を避けたいとしています。
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