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石原新党は何をめざすのか

2012/10/26付
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 東京都の石原慎太郎知事が4期目の途中で都知事を辞任し、新党を結成して国政への復帰をめざす考えを明らかにした。次期総選挙に向け、たちあがれ日本を母体に保守勢力を結集し、民主、自民両党に対抗する第三極をつくるのが目標のようだ。

 1999年、都知事に就任した石原氏はトップダウンで政策を推進した。ディーゼル車への排ガス規制、東京外郭環状道路の都内区間の事業化などはその存在なしには実現しなかったと言っていい。裏目に出たのが、早々に経営悪化した新銀行東京の設立だった。

 若年者の高い失業率、災害に弱い都市構造、全国で最低の出生率など東京は様々な課題を抱えている。首都高速道路など社会資本の老朽化への対応も待ったなしだ。尖閣諸島の国有化の火付け役になり、2020年の夏季五輪の誘致活動もこれからが本番である。

 こうした問題を残したまま、新党の結成に動くことには無責任との批判も招くかもしれないが、知事の座をなげうつわけで、党首となって新党を結成に動くこと自体は否定されるべきものでもない。

 問題は、新党が何をするためのものかということだ。どんな政治理念のもとに、どのような政策を実現しようとするのか、という点を明確にする必要がある。

 焦点は、日本維新の会などとの連携による第三極の結集だ。選挙の争点になるとみられるのが(1)原発政策(2)消費税(3)環太平洋経済連携協定(TPP)――の3点だが、経済・財政、安全保障の基本的な方向での一致が必要だろう。

 哲学者のヘーゲルは「国家の大変革は、2度くりかえされるとき、人びとに正しいものとして公認されるようになる」「最初は偶然、2度目は現実」と書いた。マルクスはこのくだりを念頭に置き、歴史は2度現れる、1度目は悲劇、2度目は喜劇、と言い直した。

 石原氏の2度目の国政挑戦が変革につながるのかどうか。悲喜劇にならないためには理念による結合が求められる。

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