ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第4章.シュバルツェンベルク編
第4章.シュバルツェンベルク編:第16話「40階突破」
 5人が訓練を始め、10日ほど経った。

 俺は相変わらず38階でストップしたままだが、昨日、レベルが23に上がり、両手剣のスキルが46になった。

 高山タカヤマ 大河タイガ 年齢23 LV23
  STR1754, VIT2035, AGI1638, DEX1660, INT4573, MEN2648, CHA1385, LUC1375
  HP1198, MP2648, AR8, SR6, DR6, SKL312, MAG200, PL38, EXP537282
  スキル:両手剣46(複撃2、狙撃1、強撃1、コンボ1)、
      回避42(見切り3、予測1)、
      軽装鎧35(防御力向上3)、共通語5、隠密11、
      探知18、追跡8、罠5、罠解除8、体術28、乗馬8、植物知識9、
      水中行動4、上位古代語(上級ルーン)50
  魔法:治癒魔法23、火属性22、水属性16、風属性16、土属性16

 一番の変化は、1回の攻撃で3匹に対して、大技の強撃を繰り出すことができるコンビネーション技が安定してきたことだ。
 これでようやく、38階突破の目途が立った。

 今日の目標は、38階のオークウォーリア2匹、オークシャーマン1匹に対応できるか確認することだ。

 いつものように、37階までは1時間ほどで順調に進み、いよいよ38階に挑戦する。
 昨日までなら、2回に1回はシャーマンの魔法でダメージを受けていた。
 今日はどのくらいで済むのか、期待と不安を胸に38階への階段を降りていく。
 5分ほどでいつものようにオークウォーリア2匹、オークシャーマン1匹が現れる。

 シャーマンが全体魔法を唱え始め、ウォーリアがゆっくりと近づいてくる。
こちらもいつものようにウォーリアに向かって突っ込んでいき、ウォーリアに攻撃を掛ける。

 ここからがいつもと違うところで、いつもなら1匹ずつに攻撃を掛けるが、今日は2匹に連続で強撃を放つ。

 右側のオークウォーリアの斬り下ろす剣を避けながら、「ハァァッ!」という気合と共に右側のウォーリアの脇を狙って斬り上げる。
 右側のウォーリアの左腕を斬り飛ばし、大上段から俺の左肩を狙って攻撃を仕掛けてきた左のウォーリアの剣を弾き、逆に相手の左肩を切り裂く。
 2匹は凄まじい咆哮を上げ、動きを止めている。
 さすがに一撃では倒せなかったが、HPの半分以上は削れていた。

 この間にもシャーマンは魔法を準備している。第二階位なので後20秒ほどで魔法が発動するはずだ。
 俺の攻撃でひるんでいるウォーリアを横目にシャーマンに攻撃を掛けるべく、一気に距離を詰め、突きを入れる。

 シャーマンは、俺の突きをまともに胸に受け、魔法は発動の直前で不発に終わる。

 このまま、シャーマンを斬り倒し、背後から接近してきたウォーリアを迎え撃つ。
 シャーマンの魔法を防げれば、ウォーリアの攻撃は恐れる必要はなく、手負いのオークウォーリアを確実に葬っていく。

(今回は何とか成功したけど、どちらにしてもギリギリだな。第一階位の魔法だと、確実に発動されてしまう。見づらい風系の魔法だと結構厳しいかもしれない)

 一応、攻撃は成功したものの、確実性の面で不安がある分、ネガティブな思考から抜け出せない。

 38階で3度、戦闘を行い、ウォーリアの脚を攻撃して機動力を奪う戦術が有効であることが判った。

 幸いウォーリアの脚には防具が無い。動きを制限するだけでもシャーマンに攻撃を掛ける時間が稼げる。

(この通路幅なら3匹からの攻撃しかありえないから、39階、40階でも対応できそうだ)

 最初にオークウォーリアの脚を狙う方法で39階まで突破し、遂に40階に到達した。
 40階は、オークウォーリア4匹、オークシャーマン1匹の編成で襲い掛かってくる。
 戦ってみて、ウォーリアの4匹目が多少厄介だが、前衛の3匹のウォーリアを無力化できれば、シャーマンを倒せることに変わりはなく、問題にならなかった。

 39階で8回、40階で7回戦闘を行い、シャーマンの魔法攻撃を受けたのが3回、すべて第一階位の風魔法マジックアローであったため、大きなダメージを受けることなく、40階の主の部屋に到着した。

 懐かしのオークロードだ。

  オークロード:
   オークの指導的地位を持つ希少種。知能は高く魔法を使う個体もいる
    HP1300,AR30,SR7,DR7,防御力30,獲得経験値500
    両手剣(スキルレベル20,AR100,SR40),アーマー(スキル10,50)
    各属性魔法レベル10(第二階位まで使用可能)

 ゴスラーの南の森で出会ったオークロードは魔法を使えない個体だったが、迷宮内のオークロードは魔法が使えるらしい。

 だが、俺にとって、単独で攻撃を掛けてくるオークロードは全く脅威にはならない。
 剣で戦えば、技量の差が大きいので、ほとんど相手の攻撃は命中せず、こちらの攻撃は確実に命中する。
 魔法で攻撃を掛けてくれば、相手の魔法が発動する前にこちらの魔法が先に発動するから、相手の魔法を封じすることができる。

(油断は禁物だが、負ける要素はない。さっさと終わらせるか)

 オークロードは剣を構え、こちらに悠然と接近してくる。
 ギリギリの実力でここに到達したパーティなら、この姿だけでもかなり恐怖を感じるはずだが、相手の実力が測れる俺にとっては滑稽でしかない。

 間合いに入った瞬間、両者の大型の剣が唸りを上げて振られ、火花を散らして打ち合わされるかに見えたが、俺は相手の攻撃を紙一重でかわし、剣が振り下ろし無防備になったオークロードの上半身に袈裟懸けの要領で斬撃を加える。

 オークロードは、大きなダメージを負ったものの、戦意は衰えず、咆哮を上げて、更に襲い掛かってくる。

「グァガァア!」

 最初の攻撃に比べ、切れはないが、大振りの攻撃は一撃でも当れば、かなりのダメージを受けることは疑いようもなく、そのパワーは未だ健在だ。

 オークロードの大振りの攻撃は、回避の得意な俺にとって、何ら脅威とはならず、逆に次々と攻撃が決まる。

 全身を血に染めたオークロードは、3分ほどで床に沈み、光となって消えていった。

(ふ~。終わった。終わってみればあっけないものだ。とりあえず、魔石と宝箱を回収して帰ろう)

 やや大振りの魔石を回収し、宝箱を空けると金貨が1枚入っていた。

 今日の成果は、オークウォーリア77匹、オークシャーマン19匹、オークロード1匹。
 オークウォーリア、オークシャーマンが1匹当たり銀貨2枚、オークロードが銀貨10枚、宝箱の金貨1枚を加え、金貨3枚、銀貨2枚の儲けとなった。

 時刻は午後4時。迷宮を出てギルドによってから、訓練場のミルコに報告に行く。

「ようやく40階を突破できたよ。37階を突破してから1ヶ月も掛けちまった」

「明日から41階に行くんだな。武器の準備は終わってるか?」

「ああ、ダグマルからミスリルコーティングのツーハンドソードを借りることになっているんだ」

「ならいい。41階からは冒険者の墓場って言う奴もいる。アンデッド系は通常の武器が効かないからな。装備に金を掛けられない奴が無理して死んじまう。まあ、その分、リターンもでけぇからな」

 俺が帰ろうとすると、

「ところでCランク昇格はどうすんだ?」

「忘れてたわ。ギルドに申請したらいいんだっけ?」

「急ぐことはねぇが、一応ギルドに申請しておきな」

 それからミルコと別れ、ダグマルのところで剣を借りにいく。
 山シギ亭に帰り、いつもより少しだけ贅沢な料理を頼み、一人で40階突破を祝った。
ようやく40階層突破です。
しかし、折角一人前の証であるCランク昇格資格を得たのに、誰にも祝ってもらわないタイガ君は何者なのでしょうか?
(エルナは? 5人娘は? えっギラーさん?)


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。