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第4章.シュバルツェンベルク編
第4章.シュバルツェンベルク編:第1話「シュバルツェンベルク」
 シュバルツェンベルクは、山間やまあいの盆地にある町で、迷宮が発見されるまでは長閑のどかな農村だったそうだ。
 現在のシュバルツェンベルクの町には、冒険者御用達の武器屋、防具屋、道具屋、宿、食堂、酒場、娼館などが所狭しと立ち並び、賑やかな声が響く活気のある都市になっている。
 町の常住人口は約5000人。
 そのうち、迷宮に潜る冒険者が500人ほどいる。
 定期的に往来する商人、その護衛が入れ替わりやってくるため、5千数百人の人口の都市になる。

 魔石を加工したり、魔道具を作るギルド直営の工房の職人以外、常住人口のほとんどが迷宮を探索する冒険者のサポートをする職に就いており、まさに冒険者の町と言うのにふさわしい様相を呈している。

 シュバルツェンベルクに到着した翌日の午後、カスパーたちとギルドの用事を済ませた後、彼らとは別に行動することとなった。
 俺は馬を売るため、ギルドの馬場に向かっていた。

 ここ1ヶ月間相棒であった馬を売るのは少し寂しい気もしたが、宿の厩舎に繋いでおくより、ギルドの馬場で動いていた方がいいだろうと思ったからだ。
 かなりいい馬らしく、10Gで売却できた。
 馬の首を軽く叩き、別れの挨拶をして、再びギルド支部に向かう。

 ギルド支部では、シュバルツェン迷宮と武術指導のミルコについての情報などを仕入れる。
 受付嬢に聞いた話をまとめると、
・シュバルツェン迷宮は過去150階層まで攻略した実績がある。現在は120階層に辿り付いているパーティが1組だけいる。
・迷宮内では、7人以上で魔物に攻撃を掛けると、その後は階層に関わらず、パーティ最強メンバーが対応できないほどの強力な魔物が出現するので、パーティは6人以下にする必要がある。途中で合流する場合も同様。
・迷宮は10日毎に内部構造が変わり、その時にボス部屋か転送ポイント以外にいると、戦闘中でも強制的に入口に戻されてしまう。
・転送ポイントには一度でも行ったことがあれば、入口から直接転送で移動できる。パーティの場合、全員が行っていなければ、転送されない。
・迷宮内で死亡した冒険者は1時間くらいで装備もろとも迷宮に吸収される。宝箱にはその冒険者たちの装備が入っていると言われている。
・魔石は大きさにより値段が変わるし、長期間保管している魔石は魔力が減っているので値が下がる。魔石は迷宮から出たら直ぐに売るほうがいい。
・魔石はギルドでしか買取りをしていない。闇取引は違法なので発覚すれば冒険者資格を失う。
・25階層以上に潜らないと宿代も苦しくなるので、早めに25階を突破する方がいい。
・15~25階層は若手の冒険者パーティが多いので冒険者同士のトラブルに注意すること。
・迷宮に出現する魔物については、150階層までギルドの掲示板に書いてあるので、確認しておいた方がいい。
・ギルドランクは、シュバルツェンベルクのみ到達した階層で評価される。パーティ、ソロは問わない。
・Fランクが5階層、Eランクが15階層、Dランクが25階層、Cランクが40階層、Bランクが65階層、Aランクが100階層、Sランクは125階層である。もちろんDランク以上へは他の支部と同じように昇格試験がある。
 以上がユルゲンに聞いていない情報になる。

 ランクは実力ではなく、どこまで進んでいるかを表し、パーティを組み易くする目的に設定されたのだろうか。

 他のギルド支部で得たギルドランクが下がるわけではないし、ここで得たランクも他の支部に行っても失効するわけではないので、ここを出て行くときのための救済措置なのかもしれない。

 ミルコについては、訓練場に行けば、いつでも会えるそうだ。
 ただ、受付嬢はミルコの訓練を受けることはよく考えるようにとしつこいくらい言っていた。

「ミルコさんですが、10年間できちんと指導できたことが一度も無いんです。元は立派な冒険者だと聞いているんですが、最近はお酒ばかり飲んでいて...一度お会いすることは止めませんが、訓練を受けるのは慎重にお考えになった方がいいと思いますよ」

とギルドの受付嬢にしては、かなり率直な意見を言ってきた。ユルゲンの言っていた再起不能になった冒険者の話は本当なのだろう。

 武器屋についても情報を得ることができた。

 ドライセンブルクのデュオニュースの弟子であるダグマルというドワーフが武器屋をやっているそうだ。今の剣のメンテナンスはそこでやってもらおう。

 時間はまだあるので、シュバルツェンベルクの町を散策する。シュバルツェンベルクの周囲には壁はなく、どこからでも出入できるようになっている。

 魔物が襲ってこないのかと心配になるが、町の中には迷宮で戦っている冒険者が500人以上いるので、ここらにいるような低レベルの魔物はあっという間に退治されるそうだ。
 宿については、カスパーお勧めの山シギ亭について色々聞いてみたが、護衛クエストの冒険者が多いが、食事がうまく安全な宿となかなかの評価だった。
 山シギ亭の浴室には、大きめの浴槽までついており、昼からは常時湯が張ってあるそうで、この世界に来て初めて浴槽に浸かることができる。

(少なくとも浴槽がある宿でここよりいい宿が見つからない限りこの宿が常宿だな)
少し短いですが、イントロダクションということで。


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