第2章.ゴスラー編
第2章.ゴスラー編:第20話「因縁の対決」
アントン達とのパーティと別れ、久しぶりにソロになった。
ソロに戻って、最初にしようと思っていたことは、南の森のオークロードとの決着を付けることだ。
レベルもあの当時と比べ、3つ上がっているし、ツーハンドソードの必要STRもクリアしているから、かなり使えるようになってきている。
魔法もファイアボールなら、10発以上撃てるようになっているし、今ならかなりいいところまで行けるのではないかと思っている。
ギルドでオークロードの情報を聞いてみると、ルディ達4人のパーティはオークロードにやられ、ルディともう一人が死んだそうだ。辛うじて生きて帰ってきた2人もかなりの重傷で冒険者を廃業するだろうとのことだ。
遭遇場所は前とほぼ同じらしい。
特に向こうは小細工もせず、堂々と出てきたそうだ。
俺はオークロードの討伐クエストを受け、南の森に向かう。
今日は朝から曇りで夕方には雨が降るんじゃないかという話だ。
天気予報はないが、観天望気で数時間先の天気を読める人がそう言っているから、多分雨が降るんだろう。
俺は南の森に入り、前回と同様ところどころに罠を仕掛けていく。
今回は前回と同じ罠が利かないだろうことを予想し、別の罠を考えてきた。
昼過ぎに例のゴブリン討伐現場に到着する。すると10分後にやつが現れた。
鑑定で再度確認すると
オークロード:オークの指導的地位を持つ希少種。知能は高く魔法を使う個体もいる。
HP1350,AR30,SR7,DR7,防御力30,獲得経験値500
両手剣(スキルレベル22,AR50,SR40),アーマー(スキル12,50)
前より少し強くなっている。
だが、予想の範囲。今の俺の攻撃力なら、勝てないことはない。
ゆっくりと近づいてくるオークロードに対し、射程よりかなり近い距離の30mから、改良型高密度ファイアボールを撃ちこむ。
速度が上がっていることから、見事に命中し、HPを一気に200ほど削ることができた。
奴がダッシュで接近してくる。
前回と同じように斜面を駆け上がり、ファイアボールを再度撃ち込む。これも200ほどのダメージを与えられ、3割以上HPを減らすことができた。
オークロードはダメージを気にせず、更に突っ込んでくる。
ここでも前回と同様、倒木を落とし、奴を転倒させようとするが、今回もうまくいかない。
俺は奴に背を向け、全速でブッシュの中に入り込む。
オークロードは前回のようにブッシュの中に突っ込んでくることもなく、ブッシュを迂回して俺に接近しようとしてきた。
(これで勝ったな。)
オークロードがブッシュを迂回しようと足を踏み出した時、オークロードは俺の罠にはまった。
落とし穴だ。
元々ブッシュの横には直径1mほどの浅い穴があったので、それを少し深くして深さを1.5mくらいにしておいた。
それだけでは大したダメージが与えられないので、中にデニスの両手剣が仕込んである。
見事に自分の体重と剣でダメージを受けたわけだが、これで罠が終わりではない。
隠してあったロープを持ち、オークロードの周りを回る。ついでに固めておいた落ち葉など可燃性のものを穴に投げ入れていく。
オークロードの動きを制限した上で、ファイアストームと落ち葉に着いた火で、窒息させる作戦だ。夕方には雨が降るという話だから、少々延焼しても大丈夫だろうと大胆な火の使い方を考えていた。
俺はファイアストームを発動し、奴の周りを火の渦にする。
オークロードは最初もがいていたが、ファイアストームの火が消えると同時に動かなくなった。
念のため、鑑定したところ、まだ動けるようでこちらの油断を誘っているようだ。
意外としぶとい。鑑定が使えなかったら、逆転を許すところだった。
俺はファイアボールを撃ち込み、止めを刺す。
再度鑑定し、完全に戦闘不能になったことを確認し、ようやく奴に近づいていく。
オークロードの首を刎ね、討伐証明部位である下の牙を切り取る。
戦利品として、オークロードの使っていたクレイモアを持ちかえることにした。
今回の勝因は、俺が前回と同じ攻撃を繰り返したことで、オークロードに俺の攻撃が前回と同じだと思い込ませたことだ。
唯のオークなら迷いもせずブッシュに飛び込んできたのだろうが、知力の高いオークロードは俺の罠を回避するため、あえて迂回してくると予想した。
どちらに迂回するかわからなかったが、どちらにも同じ罠を仕掛けていたので、問題はない。
この罠を回避された場合の罠も後2つ用意してあったが無駄になった。帰りに解除しておかなくてはいけない。
ここまで準備する必要があったのか、ファイアボールと剣の攻撃でも倒せたような気がし、少しやり過ぎだったとも思っている。
でも、これで仲間を失った記憶から解放され、前に進める気がしているのでよしとしておこう。
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