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第2章.ゴスラー編
第2章.ゴスラー編:第3話「冒険者登録」
 出発の準備が終わったので、ゴスラーに向けて出発。
 ここからゴスラーまでは6時間くらい、昨日の道より舗装状態がよく揺れは少ないそうだ。
 確かに昨日より揺れは少なく、暇そうな俺に荷馬車の操作方法を教えてくれた。

 町に近くなっていくに従い、人の往来も増えてきた。
 魔物や盗賊の心配も少なくなってきたことから馬車の上でフーゴと世間話をしながら、ゆっくりと馬車は進めていく。

 森を抜けると草原が広がっており、ゴスラーの町が見えてきた。
 町が見えてから1時間ほどした昼過ぎにゴスラーの城門に到着する。

 ゴスラーは周囲を城壁で囲まれた城塞都市で南北2km、東西1.5kmほどのかなり大きな町だ。但し、城壁自体は5mくらいとそれほど高くなく堀もない。
 町の周囲には農地はなく草原が広がっている。
 南と北に門が2ヶ所あるそうで、そこから市内に出入できるが、入門の際に守備隊の検問を通る必要がある。

 俺たちも町に入るため、南門の前の行列に加わり検問を待つ。
 検問では人には入市税、物品には関税が掛かるが、ゴスラーの入市税は一人10Cと標準的で、ゴスラーの住民は非課税となっている。

 フーゴはゴスラーの住民なので荷物に関する関税と俺の分の入市税を支払い、ゴスラー市内に入る。
 市内に入ったところでフーゴと別れる。

「いろいろ教えてもらえて助かったよ」

「こちらこそ。それじゃ気を付けて、タイガさん」

 俺は冒険者ギルドを目指すため、フーゴに聞いておいた道を進んでいく。

 ゴスラーの町の中は領主の館と守備隊の建物が石造りで他はスレート葺きの屋根の木造の建物が多く、思ったよりきれいな町だ。

 ギルドは町の中心からやや南側にあるとのことで、目印は剣と鎌が描かれた看板。2階建ての建物にギルドの看板を見つけ、中に入っていく。

 中に入ると天井が高く、待合用のテーブルといすが4セットおいてあり、木のカウンターがある。酒場をイメージしていたが、リゾート地にあるログハウスの喫茶店みたいな感じだ。

 時間帯が午後3時頃と比較的空いている時間なのか、冒険者らしい人は一人もいない。カウンターの中には20代前半の金髪のぽっちゃりした女性が座っており、退屈そうにしている。

 俺は登録のため、恐る恐るカウンターの女性に話しかける。

「すいません。冒険者の登録をしたいんですが、ここでよかったですか?」

「はい、こちらで登録させていただきます。登録の前にギルドの説明を簡単にさせていただきますが、よろしいでしょうか」

ということで受付嬢がギルドの説明を開始する。10分くらい説明してくれた内容をまとめると、

・ギルドは所謂何でも屋であり、様々な依頼がある
・ギルドは依頼を斡旋し、成功した場合に報酬を支払うが、失敗した場合や途中でキャンセルした場合はギルドに賠償金を支払う必要がある
・ギルドに登録するとギルドカードが与えられ、身分証明書となる
・依頼は、指定がない限り個人でもパーティでもどちらでも受けることができる
・ギルドでは依頼の斡旋の他に余剰物品の買い取りも行っている
・ギルドは銀行業務も行っており、ギルドカードを使用した預金が可能。なお、新人には低利の貸付を行っており、装備を充実させることもできる
・ギルドには貢献度によりランクが設けられている。Gから始まり、Sランクまである。
・長命の他種族ではSSランクの冒険者もいる
・ランクは、受けることができる依頼の分類にも使われ、自分のランクの上下1ランク以内までの依頼しか受けることができない
・一定数の依頼を受けることでランクアップする。但し、Dランク以上へのランクアップの場合は昇級試験がある
・緊急時にギルド長が召集を決定した場合は、登録している冒険者はギルド長の指揮下に入る

などである。
 ちなみに登録料は2Sと安いが、ギルドカードは高価なので紛失すると再発行に2G必要となる。

 ギルドカードは8cm×5cm位のカード状の魔道具であり、氏名、種族、性別、年齢、レベル、ランクの他、最終のクエスト達成日、預金額、借入金額などの個人情報が記載されているが、本人とギルドの読取機械以外では預金額などの個人情報は表示されないとのこと。
 個人情報は読取機の中の特殊な魔道具に蓄えられるそうで、それが定期的にギルド本部に送られて集約される。ギルド本部で集約された情報は再び各ギルドに送られ、管理される。
 管理される情報には、名前、ランク、レベル、本人の魔力パターン、クエスト達成数の他に犯罪歴なども入る。
 見た目も用途もICカードみたいなものだが、この世界の技術レベルからするとかなりハイテクの道具のようだ。

 受付嬢の説明が終わり、いよいよ登録だ。
 ベッカルト村で作ってもらった村民カードと銀貨2枚を渡し、登録する名前を用紙に書き込む。まっさらなギルドカードに血液を垂らす。血液から魔力パターンを読みとるそうなのだが、どういう仕組みかは受付嬢もわからないとのことだ。
 受付嬢はギルドカードを後ろの金属製の箱に入れ、書き込んだ名前などを読取機に登録していく。数分後、俺の名前などが入った新品のギルドカードが出来上がってきた。

「カードは紐を通せるように角のところに穴が開けてあります。失くさないように丈夫な紐を通して首からかけることをお勧めします」

「ありがとう。宿に着いたら早速紐を通すよ」

「それでは、登録はこれで終了ですが、他に何か御用はございますか?」

「買い取りをお願いしたいんだけど」

「お売りになりたいものをこのトレイの上に載せてください」

といって、80cm四方くらいあるトレイを出してくる。

 トレイの上に強盗の装備と不要になった装備などを載せる。

「30分ほど掛かりますが、ここで待たれますか?」

「依頼書を見たいので、ここで待たせてもらうよ」

「わかりました。では終わり次第、声をかけさせていただきます」

 カウンターのいすから立ち上がり、テーブルの周りにある依頼書の掲示板を見る。

 GランクとFランクの依頼を見ていく。
 Gランクは町の中での雑用が多く、物品の配達や荷物の積み下ろしなど力仕事や簡単な代書などの事務仕事もある。
 冒険者に成り立ての新人のトレーニングも兼ねているんだろう。
 Fランクになると薬草などの採取依頼や狩りの手伝いといった町の外での依頼もある。
 単独で動いても危険を感じないような依頼が多い。
 Fランクの依頼でも高くて5S、平均3Sくらいとかなり安い。フーゴに聞いたゴスラーの宿の相場だと安全な宿は2食付で1泊7~10S。
 一日に2つくらい依頼をこなさないと宿代が出ない。
 早くランクアップさせようとするギルドの思惑が透けて見えるような気がする。

 あっという間に30分経ったようで受付嬢が俺の名前を呼んでいる。

「すべて買い取り可能です。すべて買い取った場合、金貨1枚と銀貨25枚になります。よろしいでしょうか?」

「ああ、それで頼むよ」

 金貨1枚と銀貨25枚を受け取る。これで持ち金は2G75Sになった。
ようやく、冒険者になれました。
ギルドの設定はベタですが、王道ということで、ご勘弁を。


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