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改稿しました。
第1章.ベッカルト村編
第1章.ベッカルト村編:第10話「元の世界のこと、この世界のこと」

 夕食も終わり、今日はこれで寝ることにしたが、昼まで寝ていたのでなかなか寝付けない。こんな時はいろいろ考えてしまう。

 この世界に来て4日目。昨日までは怒涛の3日間だった。

 初日は森を彷徨った挙句、見たこともない生き物と戦い、ようやく人間に出会えたが、言葉が通じない。夜にはわけのわからないスキルの設定があった。
 次の日はコミュニケーションがとれたと思ったら、いきなりけが人の治療。
 3日目はお産の手伝い。

 元の世界でもこんなにハードな日々を過ごしたことはなかった。
 元の世界の高山大河は、関東の地方都市の出身で両親と兄(大海:ひろみ)、妹(大空:そら)の3人兄弟の真中の次男坊。父親は中堅ゼネコンの技師でほとんど家にいなかったが、家庭が荒れることもなく、ごく平凡な家庭だった。
 大学も地方の3流大学の工学系学部で無事就活戦線を潜り抜け、ようやく就職したばかりのごく普通の新入社員だった。

 就活では嫌なことも色々あったが、大学生活はごく普通で就職後もブラック企業ほどではないが、こき使われていたけど、こんなに波乱万丈な日々を過ごしたことはない。
 考える時間ができ、元の世界のことをつい考えてしまう。

 もう元の世界に帰れないと神様らしき存在に言われた気がする。
 
(家族はさぞ心配しているんだろうな)

 今頃、警察に捜索願が出ていて事件になっているかもしれない。まあ、行方不明者は全国でかなりの数がいるから、事件にはなっていないかもしれないが、事故の線で山狩りなどをやっているかもしれない。
 急に両親や兄弟に会いたくなった。

(目の奥がジンときている。ホームシックってやつかな)

 いろいろなことが頭の中でぐるぐる回っていたが、疲れが溜まっていたのか、知らない間に眠っていた。

 翌朝から、冒険者スタイルで本格的にギルの狩りの手伝いをする。
 ギルには山の歩き方、獲物への近付きかた、ナイフの使い方など役に立つことをたくさん教えてもらった。
 狩りの帰り道など少し余裕があるときは、歩きながらこの世界の常識も教えてもらった。

 まず、この村はベッカルト村といい、大陸(名前を聞いたら、大陸に名前なんかあるのかと逆に聞かれた)の西部域中央にあるドライセン王国にある。
 この辺りは、王国南部に位置するゴスラー男爵領にあたるそうだ。
 ベッカルト村に一番近い町はゴスラー男爵領の中心地ゴスラー市だが、人口4000人程度とあまり大きな街ではない。
 ちなみにベッカルト村は人口50人くらいだそうで、このあたりでもかなり小さな村だそうだ。
 ギル自身もゴスラーまでしか行ったことがないので、行商人から話を聞く程度の知識しかなく、地理にはあまり詳しくない。

 この世界の1年は365日で12カ月、一日は24時間、1時間は60分3600秒、但し、秒は大きな町には秒を計れる時計があるそうだが、普通は感覚的なもののようだ。
 正午は午後0時と元の世界と同じ。月も元の世界と同じく1つで大きさや模様も似ている。

 ちなみに今日は、西方暦1299年、花の月(5月)、第5水曜日(24日)だそうだ。

 月は1月から、雪の月、氷の月、水の月、土の月、花の月、光の月、葉の月、火の月、金の月、空の月、霜の月、風の月だそうで、曜日は日、火、風、水、土の五曜からなり、1か月6週間30日になる。半端の5日間は、冬至、春分、夏至、秋分、冬至の前日が特別な日として月には入らない。

 度量衡はマイル、ヤード、フィート、インチ、ポンドなどでメートルグラムなどのSI単位は使っていない。
 通貨は、金貨(G)、銀貨(S)、銅貨(C)を使っており、一応各国共通で使えるそうだ。1G=100S=10,000Cで聞いた感じでは1銅貨(C)が10円くらい、1銀貨(S)が1000円、1金貨(G)が10万円くらい、金貨10枚分に相当する白金貨、金貨の半分の価値に相当する半金貨、銀貨の1/10の価値に相当する小銀貨というものもあるそうだ。

 ギルの月収は平均で2Gくらいに相当し、村では割と余裕がある方だそうだ。
 但し、村の中では物々交換が多く、現金のやりとりは行商人とするくらいとのことだ。

 この世界には、人間以外にエルフ、ドワーフ、獣人、竜人が住んでおり、ドライセン王国では竜人以外はたまに見かけるそうだ。

 そして、冒険者という職業が存在する!
 当然ギルドもあり、ギルドは比較的大きな町、ゴスラー程度以上の町に支部がある。
支部に行けば登録できるそうだ。
 折角、ファンタジーな世界に来たのだから、冒険者になりたい。いつまでもギルに厄介になるわけにも行かないので、早めに街に出ようと思う。


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