ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
ご指摘いただいた誤字、矛盾点を中心に改稿しました。
第0章.プロローグ
第0章 プロローグ
 ここは中部地方のある山間やまあいの村。
 ゴールデンウィークも終わり、爽やかな5月の風が新緑の中を吹き渡る自然豊かな所。
 先日の季節外れの大雨で主要国道が寸断され、陸の孤島に近い状態になってはいるが、村自体には災害の爪痕もなく、田植えの終わった田に映る太陽、あぜで草を刈る農家の姿を見ているとまさに平和そのものだ。
 この長閑な村で、機械部品メーカー入社2ヶ月目のごく平凡な新入社員:高山タカヤマ大河タイガ、23歳は一人苦戦していた。

(今日は厄日だ)

(はぁぁ。全く、こんなド田舎まで来て、3時間以上納品待ち)

(課長には納品してもらうまで帰ってくるなって怒られるし、ようやく納品してもらって、急いで車を運転していたのに、途中の山道で完全に日没)

 国道が通行止めになり、唯一残っている道は国道開通前に使用していた旧道だけで、街灯もなければ、舗装もガタガタ、途中でガードレールも切れている。

(一応、都会の大学を卒業したばかりの新入社員にはこの道は難易度高すぎるよな)

 上司からは今日中に会社に入れれば問題ないと連絡を受けたので、彼は安全第一で車を運転している。
 1時間ほど走っていると、彼の膀胱が満水のサインを出し始めた。

(こんなところにトイレはないし、コンビニもないだろうな。とりあえず、車を止められるところを見つけて、立ちションでもしようか)

と思っていると、ちょうどいい、すれ違いスペースがある。

(ここで用を足そう)

と思い、車を止め、崖で用を足す。
 すっきりしたところで車に戻ろうと数歩戻った時、彼の足元から突然地面がなくなった。

「あぁぁぁ!」

(落ちるぅぅ!車から出た時は穴なんてなかったのに...)

 ここまで考えたところで、彼の意識が途絶えた。

 目が覚めると、夜が明けたのか、周りは既に明るくなっている。
 かなり長時間気を失っていたようだ。
 体を確認すると、とりあえず、擦り傷以外の怪我もない。

(ケガはないし、ひとまず安心)

 ダメ元で携帯を取り出してみたが、アンテナは立たず、圏外との表示。

(あ~どうしよう。絶対怒られるよな)

 携帯の時計では既に日付が変わり、最後の記憶から既に12時間以上経っている。
 
(ケガをしてないってことは、それ程高いところから落ちたわけでもないよな)

 ケガをしていないことを確認し、車に戻ろうとしている彼はまだ気付いていない。
 これが彼の異世界生活の幕開けであるということを。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。