生きられる社会へ:生活保護の今 「扶養義務」虐待、音信不通の親にも? 一律に押し付けおかしい

毎日新聞 2012年07月10日 東京朝刊

 生活困窮者を支援する弁護士やNPO関係者でつくる「生活保護問題対策全国会議」が6月初旬に行った緊急電話相談には、虐待した親や、両親が離婚して音信がない片親に複雑な感情を抱く人、自身も生活が厳しい人から「援助しなければならないのか」「援助を求められたら、と思うだけで不安だ」といった相談が相次いだ。

 そもそも、扶養する能力があるかどうかは、他人はもちろん本人自身さえ判断は難しい。世帯構成や家庭の事情、ライフプランは人それぞれで、子どもの教育費や家族の急病に備えた貯金も必要になる。家族に言えない秘密の借金がある人もいる。

 2年前まで都内の自治体で30年以上ケースワーカーを務めた男性(54)は、扶養照会について「事務作業にかかる人件費と比べ、実りがない」と言う。男性はかつて、1人で100世帯ほどを担当していたが、扶養照会によって経済的支援を申し出る人は1〜2人、それもせいぜい月5000〜1万円程度という現状を、目の当たりにしてきたからだ。男性は言う。

 「生活保護の相談に来る人は、いろいろなことがあって、既に誰にも頼ることができなくなっている状態の人が多い。介護保険制度の導入で、これまで家族が抱えていた親の介護を『社会化』することができたように、困窮者の生活支援も今や、家族に頼る時代ではなくなっているのではないでしょうか」

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