写真は柳ヶ瀬お化け屋敷「恐怖の細道」。山口氏によると、昨今のパワースポットブームも、一種のクリプトツーリズムだという。「もはや、未確認生物でなくても、都市伝説や民話など、地域に根ざした不思議な話での町おこしは、クリプトツーリズムととらえていいと思います」(山口氏)
ここ最近「クリプトツーリズム」なる町おこしの手法が注目を集めている。耳慣れない言葉だが「クリプトツーリズム」とは「妖怪・化け物などの伝説をモチーフにした町おこし」のこと。たとえば“口裂け女”。伝説発祥の地といわれる、岐阜市柳ヶ瀬では、そのモチーフを生かして、口裂け女を売りにしたお化け屋敷を企画。すると、シャッター商店街に1万8000人を超える観光客が訪れた。また、埼玉県では大宮の鬼婆、志木の河童、川越の小豆婆など、そのほかにも多く地元で語り継がれている妖怪を紹介する冊子を作成したところ、これも観光客に好評だという。
実はこうした町おこし、決して日本に限った話ではなくアメリカでは以前からポピュラーな手法なのだとか。
日本に初めてクリプトツーリズムを紹介した作家の山口敏太郎氏は「もともとは、アメリカでビッグフットなどの未確認生物が出現するといわれる地域が、2000年頃から町おこしで始めたこと」と語る。ん、未確認生物で町おこし…。クリプトツーリズムという言葉自体は新しく感じるが、そういわれてみれば、日本でも昔からあったような…。
「たとえば、広島県の比婆山に現れたヒバゴン。ブームは1970年代でしたが、今でも祭りは続いています。ほかにも、岩手県二戸市には座敷わらしが出ることで有名な旅館がありました。あれも、クリプトツーリズムでしょう。もっと古いところでは、岩手県遠野市が同地方を舞台に不思議な民話を集めた『遠野物語』を観光の目玉にしていますね。ただ、それらはアメリカの手法のように体系化がなされていなかった」
しかし、妖怪や都市伝説を利用した町おこしは、まだまだ日本では一般的とは言い難い。今後、クリプトツーリズムは普及するのだろうか。
「普及する可能性は高いと思います。ひとつめのポイントは、中央集権に対する地方の自立。ゆるキャラやB級グルメのように、地域独自の発信はすでに始まっています。そういった意味では、その土地に伝わる伝説や妖怪が注目されてもおかしくないでしょう。そしてもうひとつ、重要なポイントがあります。それは、伝説や妖怪には著作権がないということ。行政に頼らなくても、町おこしをしたい有志が進めることができるんです」
実際、口裂け女のお化け屋敷も、地元商店街の有志が、山口氏に相談して実現した企画なのだとか。もしかすると来年夏あたりは、ゆるキャラに続いて、ご当地妖怪がブームになっているかもしれないぞ。
(コージー林田)
<山口敏太郎プロフィール>
作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家・㈱山口敏太郎タートルカンパニー代表取締役。山口氏のブログでは、パワースポットの紹介なども行う
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