INSIGHT NOW!
オープンナレッジを加速する
ユーザ参加型ビジネスメディア
勉強会でつながるビジネスコミュニティ

商品は「夢」を与えなければならない

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
3.5
320
2012年10月26日 09:33

人は、商品が実現してくれるかもしれない

「理想」(to be)

を夢見て購入するのであり、

「現実」(as is)

を提示されてもワクワクできないものです。

このところ、積極的に広告展開している、サントリーの健康食品、

セサミンEX

は、男女2人の後姿のヌードが目を引きますね。

アテンション(注目)効果はバッチリです

ただ、この男女の引き締まった若々しいからだつきから見て、おそらく30代前半くらいでしょう。ひょっとしたら20代かもしれません。

セサミンのメインターゲット

40代以上

ですから、メインターゲットからは、10歳以上も若いモデルを登場させているということになりますね。


過去のセサミンの広告(テレビCM、新聞広告)は、公式Webサイトで閲覧することができます。昨年(2011年)は当時45歳の前田典子さんでした。それ以前は、

・登山家の三浦雄一郎さん(当時78歳)
・女優の浜美枝さん(当時67歳)


など、メインターゲットと同世代の著名人が登場していました。

ところが、昨年は40代の前田さん、そして今年はおそらく30代と、広告に起用するモデルを大きく若返らせています。


健康食品は、体の衰えを感じ始める中高年が、強い関心を持つ商品カテゴリーであり、

「若くありたい」
「元気でいたい」


といった欲求を充たしてくれそうという「期待感」で購入するものですね。

その時、頭の中にイメージしているのは、

「今の自分」(as is)

ではなく、若者のような、引き締まった体や、ハリのある肌を取り戻している

「理想の自分」(to be)

なのです。

したがって、広告においては、

「理想」=「夢」

を提示してあげたほうが、より強く購入意欲をそそることができる。セサミンの近年の広告の背景にはそんな判断があるのでしょう。


ちなみに、衣服の展示用に用いられる

マネキン(人形)

の大手、吉忠マネキン(株)では過去に、

60代シニア

の体型を忠実に再現したマネキンを製作したことがあったそうです。

これは、おなかがせり出し、全体に小太りな典型的な「シニア体型」にも似合うファッションを展示する上で、最適なマネキンのはずです。

ところが、このマネキンは、消費者にはそっぽを向かれてしまい、失敗に終わりました。ありのままの「現実の自分」を提示されたくはないということだったのでしょう。


人間心理はこのように複雑なものです。現実の自分と理想の自分との間で揺れ動いている。

したがって、ターゲット顧客の心を動かすクリエイティブ、あるいはメッセージ開発に当たっては、人間心理を深く洞察しなければならないのです。


★サントリーセサミンEX (サントリーウェルネスオンライン)

Ads by Google

この記事の感想を書く
この記事をマイページにブックマーク

  • このページを行き先登録
  • この記事を含むECナビ人気ニュース
  • 楽天SocialNewsに投稿!
この記事は役に立ちましたか?
役に立たなかった
あまり役に立たなかった
まぁまぁ役に立った
役に立った
非常に役に立った

このビジョナリーが主催・参加するコミュニティ


ユーザ登録

無料のユーザ登録でWeb2.0時代のビジネスメディアを使いこなそう!

読者ユーザ登録
ビジョナリー会員登録
パスワードをお忘れの方

携帯でもINSIGHT NOW!