オーストリアの湖岸にある美しい世界遺産の町が中国に“コピー”された−。有名なハルシュタットの町そっくりに造った「中国版」を中国企業が建設し、高級分譲地として販売を始めた。
ハルシュタットはオーストリア中部の湖と山々に囲まれた町で、約800人が暮らす。2000年以上続く岩塩の採掘や湖岸の歴史的な町並みで知られ、1997年に世界遺産に登録された。
この町をそっくりまねたのが、中国南部広東省の広州市近郊にある湖のほとりに誕生した分譲地「ハルシュタット・ビラ」。教会やホテルなどの建物の大きさから壁の色、広場の石碑までほぼ本物そっくり。販売価格は地元の高級住宅の3倍以上もするが、初回に売り出した400戸の大部分が契約済みという。
今年6月の記念式典に招待されたハルシュタットのアレクサンダー・ショイツ町長(50)が「商売目的と思うが、こちらにとっても観光宣伝になるし、うれしく思っている」と歓迎する一方で、経営するホテルと同じ建物が建設されたモニカ・ウェンガーさん(49)は「自分のホテルが無断でコピーされたなんて信じられない。建物はまねできても、歴史や暮らしまでまねすることは絶対にできない」と反発している。(共同)