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政治
【主張】与党の補選敗北 首相の逃げが不信高めた
野田佳彦政権の発足後初の国政選挙となった衆院鹿児島3区補選で、民主党が推した国民新党の新人が自民党公認候補に敗れた。
与党候補の敗北は、赤字国債発行に必要な特例公債法案の成立など必要最小限の課題も片付けずに、「近いうち」の衆院解散から逃げ回っている野田首相に対し、有権者が厳しい判断を突きつけたといえよう。
マニフェスト(政権公約)になかった消費税増税法を成立させたことや、「無駄の削減で16・8兆円を生み出す」とした約束を果たせなかったことなど、政権の正統性の喪失を如実に見せつけた。
この結果を受け、首相は選挙情勢が厳しいとして衆院解散をさらに先へ延ばす方向に傾くかもしれない。しかし、年内解散を明示した上で、与野党が協力して内外の懸案を解決する状況を作り出すしか政権の信頼を得る道はない。
補選は国民新党の松下忠洋前金融担当相の死去に伴って行われた。民主党は閣僚や党幹部を現地入りさせるなど自党の公認候補並みの支援態勢を敷いた。
選挙区内には、九州電力川内原発1、2号機がある。両候補とも安全性確保を前提に、再稼働を容認する見解を示していた。進出企業の相次ぐ撤退で、雇用不安への対応も大きな課題だった。
これらの論点で明確な違いがなかった分だけ、「民主党政権の継続か、自民党の政権復帰か」という政権選択がより問われたことが今回の補選の特徴ともいえる。
にもかかわらず、与党議席を守れなかったことで、民主党は国民新党と合わせても衆院の与党過半数割れまで9議席と追い込まれ、政権運営の痛手となった。
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