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社説

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冬の電力需給 有効な節電対策を早く(10月13日)

 北海道電力は、停止中の泊原発(後志管内泊村)が再稼働しないことを前提とした今冬の電力需給見通しを政府の電力需給検証委員会に提出した。

 厳冬期の来年2月の供給予備率は大幅に上積みされ、計画停電の準備が不要となる5・8%に達した。

 検証委の精査を経て、11月上旬に政府が節電目標の設定や需給対策を決定するという。

 北電が当初示していた予備率が0・2%だったことを考えれば、需給予測を徹底的に検証するのは当然だ。その作業と並行して、有効な節電対策を早急に練る必要がある。

 予備率が改善したとはいえ、油断は禁物だ。冬を間近に控え、政府と北電の対応はあまりに遅いと言わざるを得ない。

 北電は夏と同様、数値目標のある節電を要請したい意向だ。これは理解できる。

 冬の北海道では、ピーク時の電力需要が夏よりも15%程度増える。暖房や融雪などで深夜の電力需要も高く、昼夜の電力使用量に目立った差も出ない。

 老朽化した火力発電所をフル稼働させることになり、故障が懸念される。北電によれば、火発などの計画外停止により、2011年度は1日平均31万キロワットの供給力が減少した。

 この分を差し引くと、供給余力はほとんどなくなり、不測の事態に対する万全の備えが必要だ。

 今回の見通しには、供給力の積み増しに加え、寒さが厳しかった10年度の冬季に比べ3%程度の節電効果が盛り込まれた。

 既に節電を前提とした予測であり、今冬の節電は避けられない。

 であれば、節電要請をするかどうか、政府の指示を待つまでもなく、北電は節電に役立つ情報を積極的に開示しなければならない。政府もそのように指導するべきだ。

 冬の電力不足を理由に、道内の経済団体は泊原発の早期再稼働を求めたが、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、要望を受け付けない方針を示した。

 原発の安全性に責任を持つ規制機関として妥当な判断だ。

 道民には、一丸となって泊抜きの冬を乗り切る覚悟と創意工夫が求められている。

 夏の節電では、産業用と業務用が10%以上を達成したのに対し、家庭用は5%にとどまった。冬に向け家庭の節電は最大の課題である。

 道民の生命と健康を守りながら、効果的な節電方法を探るには、北電の全面的な協力が欠かせない。

 北電が煮え切らない態度を続ければ、この期に及んでも泊の再稼働をあてにしていると疑われるだろう。

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