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自滅するスタートトゥデイ
 一時は有力セレクトショップのラインナップを売り物にアパレル・ウェブモールの最先端を走ったスタートトゥデイ(ゾゾタウン)だが、今春以降、一気に勢いを失った感がある。商品取扱高伸び率は11年3月期の+53.1%、12年3月期の+42.9%から今期に入って4月が+25.3%、5月が+15.3%、6月が+6.4%(夏セールの後倒し同調が響いた)と急減速し、7月は+40.4%、8月は+30.4%と盛り返したものの昨年までの勢いは見る影もなく、株価も年初の半値まで下落している。劣勢を挽回しようと仕掛けた「ゾゾコレ」も三万人動員の目論みが一万人、受注予約総額も1億5000万円に留まり、人気の凋落を露呈する結果となった。
 アパレルのウェブ販売に新時代を開いたスタートトゥデイが壁に当たった要因はアマゾンや楽天のアパレル本格進出に加え、自らの運営コストを肥大させてブランドの受託販売手数料率を加速度的に引き上げ、ブランドの離反を招いた自滅的戦略ミスにあったと思われる。07年にストア運営管理事業(受託販売)をスタートした時点では22.4%だった手数料率が年々、引き上げられて12年3月期には平均27.0%(12年4〜6月期では27.6%)になり、今や新規のブランドには初期費用まで取って35%を要求するに至っている。
 ウェブ通販サイトの売上対比運営コストは、当社主催SPAC研究会メンバーの年商3億円以上の自社サイトで平均26.8%、年商97億円のマガシークは23.2%(12年3月期)、米国アマゾン社は20.3%だから、35%も取られては自社サイトやアマゾンへのシフトが加速してしまう。TVCMなどに大枚を投ずるより物流センターなどのフルフィルメントに投資してコスト競争力を高めアマゾンなどに対抗すべきだったのに、逆にコストを肥大させて手数料率を上乗せ続けるという致命的戦略ミスを犯してしまった。
 スタートトゥデイ社には何の関わりも遺恨もないが、駅ビルやSCに代わる低コスト販路として期待されたウェブ通販を高コスト化させた責任は自らが負わねばならない。スタートトゥデイの自滅によってアパレル通販サイトの主役はアマゾンや自社サイトに移って行くと思われる。ショールーミング時代に突入し店舗小売業とウェブ小売業のコスト競争が過熱するこれから、先行したウェブ通販サイトと言えどもコスト競争に遅れればシェアの低下は避けられない。ウェブ小売業も店舗小売業もスタートトゥデイを他山の石として、ショールーミング時代に勝ち残るコスト競争に励むべきではないか。
 2012/10/03 10:00  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール

小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。

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