【マニラ=佐竹実】フィリピン政府と南部ミンダナオ島で活動する反政府組織モロ・イスラム解放戦線(MILF)は7日、2016年にイスラム勢力などの新自治政府設立を認める枠組みに合意した。独立を巡って40年以上続く紛争は、和平へ大きく前進した。同島は鉱物などの天然資源が豊富だが紛争のため開発が進んでいない。和平が実現すれば、日本を含め海外の企業の注目を集めそうだ。
比政府とMILF双方が合意に達したことを明らかにした。アキノ大統領は7日に記者会見し、「手に持った銃を手放す時が来た。今回の合意はミンダナオの永続的な平和につながるものだ」と述べた。
交渉筋によると、ミンダナオ島の新自治政府は、イスラム勢力などによる閣僚形式の行政機構になる。現在の「ミンダナオ・イスラム自治区」(ARMM)は廃止され、権限を拡大する形だ。外交や国防などの主な権限は比政府に所属する。その他権限の委譲や領域などの詳細について、交渉を続ける。MILFの武装解除など、治安の確保も今後の課題となる。
フィリピンでは大統領の再選が原則禁止されており、政権が代われば交渉が頓挫する可能性もある。そのため、比政府はアキノ大統領の任期が切れる16年までに決着を付ける必要があった。幹部の高齢化が進むMILFも、早期の自治政府樹立を望んでいた。
比政府とMILFは、停戦と衝突を繰り返してきた。08年には当時のアロヨ政権が自治権拡大などで大筋合意したが、最高裁がこれを違憲と判断したため最終的な合意に至らなかった経緯がある。和平達成を目指すアキノ政権はその反省から、国会などに根回ししながら交渉を進めてきたが、今後の調整は難航する可能性もある。
両者の交渉には日本も大きく貢献しており、オブザーバーとして比政府とMILFの両者を支援。11年にアキノ大統領とMILFのムラド・エブラヒム議長が成田空港近くで極秘会談をしたのも、日本政府が両者から信頼されていたためだ。
国際協力機構(JICA)もインフラなどの支援をしているほか、06年から現地の国際監視団に職員を派遣している。
ただ、ミンダナオにはMILFだけでなく、共産系反政府組織である新人民軍(NPA)や、アルカイダとの関連が指摘される過激派組織アブサヤフも存在する。11年には住友金属鉱山系の鉱山をNPAが一時占拠する事件も発生。日本企業の進出には、比政府がこうした勢力を抑えて、治安を強化することが条件になりそうだ。
アキノ、MILF、自治政府、住友金属鉱山
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