恐竜:翼は求愛用「大人になった証し」…北大など発表
毎日新聞 2012年10月28日 08時53分(最終更新 10月28日 09時23分)
恐竜の翼は、大人になって求愛に利用するために発達したとの分析を、小林快次(よしつぐ)・北海道大准教授らの国際チームがまとめ、26日付の米科学誌サイエンスに発表した。
チームは、カナダの白亜紀後期(約7000万年前)の地層から、草食恐竜「オルニトミムス」の化石3体を発見した。1体は1歳未満の子ども(全長1.5メートル)、残り2体は7歳程度(同3.4メートル)と10歳程度(同3.6メートル)の大人だった。1歳未満と7歳では単純な羽毛で覆われていたが、10歳では硬い軸のある翼の付いた跡が多数あった。
鳥類は生まれて1〜2週間で翼を持つが、オルニトミムスは大人になってしばらくして翼が生えたことになる。これまで、翼は飛んだり獲物を捕まえたりするために発達した可能性が指摘されてきた。しかし、オルニトミムスは飛行せず草食恐竜であることから、チームは「翼は繁殖期を迎えたという目印であり、異性へのアピールで利用したのではないか」としている。
羽毛恐竜は中国やドイツで見つかっているが、北米大陸では初めて。
真鍋真・国立科学博物館研究主幹は「大人への成長過程で、羽毛の変化を確認できたのは珍しく重要な発見だ」と話す。【永山悦子】