中国事業をどうすべきか。1990年代半ばから中国に大挙、進出した日本企業は今、きわめて重大な岐路にさしかかり、中国事業に関する決断を迫られている。今回の「反日」はデモから破壊行為、不買運動に発展し、日本企業が直接的な被害を受けただけでなく、中国の国民を長期的に縛りかねない日本企業嫌い、日本製品忌避の感情を残した。直接的な原因となった尖閣諸島国有化の現実は今後も続くわけで、日本企業は中国での生産、販売でこれからも大きな反日リスクを抱え続ける。一方、日本のビジネスマンの中国嫌悪感の高まりもある。中国事業に意欲と熱意を持ち、日中友好を願っていた日本のビジネスマンの多くは激しい日本たたきの現実に自らが立っていた基盤の崩壊を経験した。日本企業の対中ビジネスはもはや元には戻らない変化を遂げた。
■転換点を迎えた「中進国」中国
重要なのは中国の経済、市場そのものも今、大きな転換点にあることだ。人件費の高騰、人民元の上昇、自動車、家電や鉄鋼など様々な商品が示す需要の飽和化であり、一言でいえば「高度成長期の終わり」である。中国を世界第2位の経済大国に押し上げたトウ小平氏の「改革開放」政策の発動から34年。中国の1人当たり国内総生産(GDP)は5400ドルに達し、「中進国」となった以上、高成長期にピリオドが打たれるのは自然なことだ。ただ、中国経済に次のステージは用意されていない。成長の道半ばで先が見えなくなった焦燥感こそ「反日」のエネルギーだったのかもしれない。
では、これから日本企業は中国にどう向き合うべきか。まず、考えるべきは中国経済の変質である。90年代から中国の成長をけん引してきた輸出型の生産はすでにかなりの分野で競争力を失っており、ここ数年進んでいた東南アジア、南アジアへの工場流出はさらに加速するだろう。この10年、中国の新たなビジネスチャンスとして日本企業を潤してきた中国の内需は成長鈍化に直面するだろうが、今後も重要性は変わらず、日本企業にとっては欠かせない成長の原動力だ。中国の内需向けの生産拠点も重要性はあまり薄れないだろう。まとめていえば、こうなる。中国は「世界の工場」から「中国の工場」になる。内需で成長する米国と同様に、中国も内需で国内に立地する工場をある程度、食べさせていけるだろう。
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