政府は２７日、ラオスで１１月５、６両日に開催されるアジア欧州会議（ＡＳＥＭ）首脳会議の際、野田佳彦首相と中国の温家宝首相の公式会談を見送る方針を固めた。
１１月中旬のカンボジアでの東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）首脳会議でも首脳会談を見送る公算が大きくなっており、沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立は長期化が避けられない見通しとなった。
中国は１１月８日から共産党大会を開き、指導部は胡錦濤国家主席から習近平国家主席の体制への移行が始まる。ＡＳＥＭはその直前にあたり、世論を刺激しかねない日中首脳会談には中国側も応じにくいことも踏まえ、政府は首脳会談の見送りを決めた。ただ、立ち話など非公式な接触は調整する。
日中両政府は、外務省の河相周夫事務次官と中国の張志軍外務次官のルートを主たる交渉窓口とすることで合意した。両氏は１０月中旬に上海で会談し、張氏が１１月にも来日する方向で調整に入っている。
政府はこのルートで一定の時間をかけ、対立緩和に向けた打開策を探る方針で、１１月中旬のＡＳＥＡＮ首脳会議での日中首脳会談も見送るべきだとの声が強まっている。