規制委:原発の脅威にクラゲ…新安全基準に盛り込みへ
毎日新聞 2012年10月28日 13時05分(最終更新 10月28日 13時55分)
原子力規制委員会は原発事故を引き起こす脅威の一つとして、クラゲの大量発生を新たに位置づける方針を固めた。来年7月までに策定する新たな安全基準に盛り込み、各電力会社に対策の検討を求めていく考えだ。
◇大量来襲で取水口に詰まり
クラゲが大量発生すると、原子炉冷却などに使う海水の取水口に詰まり、十分な取水ができなくなる。関西電力大飯原発(福井県)では3号機が再稼働した直後の7月8日、大量のクラゲが来襲。4号機の再稼働後の同月30日にも押し寄せ、取水量を絞らざるをえなくなり、一時的に発電出力が低下した。
クラゲ発生のピークは夏で、電力需要の高まる時期だ。東京電力福島第1原発事故は、電源機能が失われて原子炉を冷却できなくなったことが原因となった。規制委事務局の原子力規制庁は「たかがクラゲと軽んじられない」と話す。
新たな安全基準は、規制委が外部の専門家を交えたチームを設置、海外の基準と比較しながら検討を始めた。そこで、想定すべき脅威として従来の地震や津波に加え、新たに火山や竜巻、テロなどと並んでクラゲの大量発生も協議することにした。国際原子力機関(IAEA)は「生物学的事象」としてクラゲなどの対策を求めている。【岡田英】