ところが、さっきお話ししたように、そこには継承された文化もなく、ノウハウも非常に貧弱。しかも日本人の独身者は、恋愛を楽しんで独り身でいるんじゃなくて、みんな受け身なんですね。自分からアクションを起こすわけでもなく、ただ待っているだけ。
アンケートを取ったら、女性の7割、男性の6割が、そういう「受け身ちゃん」や「受け身君」でした。私は「待ち受け女子」「待ち受け男子」と呼んでるんですけど(笑)、その両者の間には、当然ですが何も起こらないわけです。
では、以前の日本はどうだったかというと、概ね、地域社会が結婚させてくれたんです。あるいは、就職した後の社内結婚ですよね。地域のコミュニティや会社組織が、若い人たちが結婚できるように心を砕き、マッチメイキングして、プレッシャーをかけて、何とかくっつけていた。そのように、自分からは主体的に動かなくても、流れに乗っていけば結婚できる文化があったんです。
安藤: でも、それはすでに失われましたよね。
白河: そう、崩壊してしまいました。だから結婚難が起きている。
もう一つ、「経済的な部分は男性が負担すべきである」という意識が、日本ではまだすごく高いですよね。聞いてみると、日本人の7~8割の人は今もそう答えます。そういう状況で、婚活しても成功しないのは、経済的な負担に耐えられる男性の数や、負担しようとする男性の数が、婚活する女性の数よりも圧倒的に少ないから。それだけの問題なんですね。
共同参画型の家庭を目指さないと、結婚は増えません
安藤: 白河さん、このことを『婚活時代』を出された頃から指摘していらっしゃいましたよね。
白河: その通りです。私は前から一貫して、「そろそろ女性も、家計に貢献するという意味できちんと働き、男性も、家事・育児を単なるお手伝いではなく一緒に実践して、共同参画型の家庭を目指していかないと、これ以上結婚は増えません」とずっと言っているんですよ。ところが現実はそうならずに、婚活の方向が三井物産などごく一部に過度に集中しているという、恐ろしい事態になっている(笑)。
やはり、あちこちに取材してみると、「日本の少子化の原因は女性差別にある」と思うことが多々ありますね。スーパーウーマンじゃない女性が普通に働きながら、それほど辛くなく子供を産んだり育てたりということが、日本ではまだまだ困難だという点で。
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